FXのロールオーバーとは、未決済のポジションを翌日以降に持ち越すこと(ポジションの繰り延べ)です。

スイングトレーダーであれば、ポジションを翌日以降に持ち越すことはよくあると思います。
この時に何が起きていて、なぜスワップが付与されるかご存じでしょうか?

本記事ではロールオーバーの意味や仕組み、タイミング、スワップポイントとの関係性を解説します。

特にスワップ狙いの投資をする方は、いつ・どんな仕組みでロールオーバーされるか知っておいて損はありません。

ロールオーバーとは

ロールオーバーとは、未決済のポジションを2日以上持ち越すことです。

ポジションなんて長期に保有できるのが当たり前ですが、実はFX取引(スポット取引、後述します)では原則として2営業日後に必ず決済を行うというルールがあります。

例えば、ドル円のロングポジションを保有している場合、2営業日以上保有するためには、一度ポジションを決済して、再度ロングポジションを取らないといけません。

しかし一度ポジションを決済した瞬間にまたポジションを取るのは面倒です。

そこで、FX業者がトレーダーの代わりに、「ポジションの決済⇒再度注文」の手続きを行うことになっています。これをロールオーバーと呼びます。

ロールオーバーのおかげで、我々トレーダーは長期に渡ってポジションを保有することが出来るのです。

ロールオーバーの仕組み

FXの外国為替市場では、スポット取引(直物取引)とフォワード取引(先物取引)の2種類があります。

  • スポット取引(直物取引):現時点で所有している通貨の交換を行う(FX取引もコレ)
  • フォワード取引(先物取引):将来的に通貨の交換を行う

スポット取引(直物取引)では、原則2営業日後に必ずポジションを決済して通貨を交換しなくてはいけません。

なぜなら本来の外国為替取引は現金と現金を交換することであり、その受け渡しは早く行われなければいけないからです。

しかし、我々の行う外国為替証拠金取引では、あくまでも目的は外貨を手に入れることではなく、キャピタルゲインのみを求める差金決済ですから、実際に本物の外貨を所有したいわけではありません。

そこで必要になってくるのが、通貨の交換を行うタイミングで一度決済をして再度ポジションを取り直すロールオーバーです。

ロールオーバーを利用することで、未決済のまま2営業日移行でもポジションを持ち越せます。
このおかげで受け渡しによる決済期限を気にする必要もなく、好きなだけポジションを保有できます。

外国為替証拠金取引の場合、決済が完了するまで自動的にロールオーバーが繰り返されます。
ロールオーバーは長期投資をしたい人にとっては欠かせない存在と言えるでしょう。

ロールオーバーのタイミングについて

ロールオーバーは、ニューヨーク市場のクローズ時点で行われます。

多くのFX業者では大体以下の時間帯でロールオーバーになります。(日本時間)

  • 冬時間:午前6時55分~7時10分
  • 夏時間:午前5時55分~6時10分

FX市場における1日の切り替わりはニューヨーク市場クローズの時点ですので日本時間の深夜24時〜ロールオーバー前までに成立した取引は「前日の取引」、ロールオーバー以降の取引は「当日の取引」として扱います。

ロールオーバーとスワップポイントの関係

未決済のポジションを保有したままロールオーバーした場合には翌営業日にスワップポイントが付与されることになります。

スワップポイントとは、金利が異なる2つの通貨間の金利差調整分のことです。
各通貨ペアの2つの通貨の金利差によってスワップポイントが計算されます。

実質的には一度決済して再度ポジションを取るわけですから、最初に保有していた期間分の金利差分を受け取る、もしくは支払うことになるわけですね。

スワップがプラスであれば、ロールオーバーした翌営業日にスワップポイントが得られ、スワップがマイナスなら、スワップポイントを支払うことになります。

このスワップポイントは、実際の金利をベースにして計算されていますが、FX業者によって大きく違うことがあります。

また、金利差のみで計算するのであれば、同じ通貨ペアのプラススワップとマイナススワップの値は等しくなるわけですが、そうなってはいません。

同じ通貨ペアのポジションを両建てすると分かりますが、プラススワップよりもマイナススワップの値の方が基本的には大きくなっています。

つまり両建てし続けていると、トータルではマイナスになるスワップポイントのおかげで、ジリジリと資金が減っていくわけです。

なぜ業者ごと、そしてプラススワップとマイナススワップの値が違ってくるかと言うと、スワップポイントもFX業者の利益の一つになっているからです。

業者によってスワップポイントを多く出して出ても集客したいところや、スワップポイントは渋るところがありますので、色々と調べると良いでしょう。

MT4でのスワップポイントの調べ方

スワップポイントについては各業者のサイトにて記載してありますが、MT4を採用している業者であれば、MT4からでも確認可能です。

まずはMT4左上の「表示」から「気配値表示」をクリックします。

出てきた気配値上を右クリックして「通貨ペア」をクリック。

一覧の中からスワップポイントを確認したい通貨ペア名を選択してから「設定」をクリック。

選択した通貨ペアの取引条件が出てきますので、その真ん中から下あたりにスワップポイントと3日分のスワップポイントがもらえる日が記載してあります。

ロールオーバーしたポジションとスワップポイントの確定申告について

FX取引において未決済ポジションは、確定申告の対象になりません。
確定申告の対象となるのは、あくまでも前年のうちに決済したポジションの損益になります。

ここで注意したいのがスワップポイントです。

スワップポイントの付与のタイミングはFX業者によって異なり、以下の2パターンがあります。

  1. ポジションの決済と同時にスワップポイントの付与
  2. ポジションの決済とは別にスワップポイントの付与

ポジションの決済と同時にスワップポイントの付与

このパターンでは、ポジションを決済した時に初めて、これまで溜まっていたスワップポイントが残高に付与されます。

ポジションを決済していない時は未決済のスワップポイントとなりますので、ポジションを決済するまでは確定申告の対象にはなりません。

ポジションの決済とは別にスワップポイントの付与

ポジションの決済・未決済に関わらずスワップポイント分が口座残高に加えられる場合は、確定申告の対象になります。

まとめ

今回はロールオーバーとスワップポイントの関係性について解説しました。

ロールオーバーについては「何となく知っている」という人が多いんじゃないかと思いますが、より詳しく知ると、FX市場について深く理解できるようになります。

スワップについても「なぜ付与されるのか?」「なぜ業者によって違いがあるのか?」について知っておくと、取引の戦略も増えるかと思います。

この記事が参考になれば幸いです。

 

 

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