cTraderとは、MT4やMT5と同じで、トレード用のプラットフォームです。
複雑なチャート分析から発注までが出来る優れたツールで、MT4やMT5ほどはFX業者に採用されてはいませんが、世界中に根強いファンがいるのも事実です。
そこで今回の記事はcTraderの特徴やメリットやデメリット、MT4やMT5との違い、使い方などについて解説していきます。
cTraderについて
ここでは、「cTraderって何?」という方に向けて分かりやすくご紹介していきます。
cTraderはMT4を超える高機能なトレードツール
cTraderは、2011年にロンドンの「Spotware System」という会社が開発したFX用のプラットフォームです。
大きな特徴は、ECN方式専用に開発されたという点です。
ECNとは「Electronic Communications Network」の略で、インターバンクと繋がった私設取引所になります。
この図にもあるようにECNはNDDの一種になります。
ECNはその中でも個人投資家やファンドなど全参加者の売買注文をオークション形式でマッチングさせて取引を行う私設取引所になります。
この取引に特化したのがcTraderです。
高い価格の透明性の中で、スピードのある決済ができるのが大きなウリです。
リリースはMT5とほぼ同じ2010年。
かなり長く続いているツールと言えます。
ECN専用のため、MT4やMT55と比べると対応しているFX業者は非常に少ないです。
しかし、多機能ということもあって一部のFXトレーダーからは「手放せない」ほどに愛用されています。
デスクトップ版、Web版、モバイル版がある
デスクトップ版
cTraderはデスクトップ版、Web版、モバイル版があります。
ソフト版cTraderはWindowosのみでMacに非対応です。
対応しているOSは、Windows7、Windows8、Windows10、Windows11です。
一般的に言われる「cTrader」とはこのダウンロード版を指します。
Web版
cTraderはWebトレーダーに対応しています。
Webトレーダーとは、インターネット上にあるプラットフォームです。
取引用ログインIDとパスワードとネット環境があれば、どこからでもWebトレーダー用のURLにアクセスしてトレードができます。
ソフト版Webトレーダーと同じように使えます。
モバイル用アプリに対応
cTraderでもスマホ用アプリを開発・リリースしています。
アプリは、AndroidとiPhoneに対応です。
板情報や一括決済できるなどの機能が実装されています。
cTraderの機能と使い方
cTraderの基本的な機能や使い方について、以下の順に解説していきます。
- cTraderのダウンロード方法
- cTraderの機能について
- 画面構成
cTraderのダウンロード方法
cTraderのダウンロード版は、公式サイトや対応しているFX業者でダウンロードができます。
MT4と同じで、ダウンロードや利用については費用はかかりません。
以下のcTraderの公式サイト内でダウンロードできます。
下のような画面に変わります。
「Download cTrader」のバナーをクリックしてダウンロードページに移行すると、以下の5種類のダウンロード画面が表示されます。
この中から取引したい端末に合ったものを選んで緑色のボタンをクリックするとダウンロードが始まります。
cTraderの機能について
cTraderの基本的な機能は次の通りです。
- 発注機能
- 決済機能
- 入出金機能
- チャート表示機能
- 自動売買機能
- テクニカル分析機能
MT4と同じく、cTraderで注文、分析、決済、入出金が可能です。
総合的なプラットフォームと言えます。
cTraderのデフォルト画面は以下のようになります。
cTraderは、基本的に5つのパネルで構成されています。
- 中央のパネル:チャート画面(インジケーター等の表示)
- 左側のパネル:銘柄選択、新規注文、銘柄をウォッチリスト
- 右側のパネル:マーケット情報、板情報、銘柄情報の取得
- 上部のパネル:時間足の設定、インジケーターの選択
- 下部のパネル:保有ポジションの管理、取引履歴の確認
それぞれのパネル位置は変更可能ですし、MT4のように不要なものは非表示にできます。
MT4を使い慣れている方であれば、大きく戸惑うことは無いと思います。
cTraderのメリット
cTraderには以下のようなメリットがあります。
- 板情報が見れる
- コピートレードに対応している
- バックテストに対応している
- スキャルピングとの相性がいい
板情報が見れる
cTraderはECN専用です。
ECNは私設取引所で取引することになりますので、株式取引と同じく板情報が見れます。
cTraderには、以下の3つの板情報が搭載されています。
- Standard DoM(全体的な注文量)
- Price DoM(価格ごとの注文量)
- VWAP DoM(取引量ごとの約定価格)
板情報は、投資家の動向や相場の方向性などの把握を行うのに便利です。
コピートレードに対応している
cTraderは、コピートレードに対応しています。
コピートレードとは、自分の口座を他のトレーダーの口座と紐づけして、全く同じタイミングでポジションを取れるやり方です。
簡単に言えば、他のトレーダーに取引してもらう方法です。
コピートレードは初心者でも勝てる可能性が高い一方で、コピーするトレーダー(ホストトレーダー)に手数料を支払う必要があります。
勝率が高いトレーダーになるほど、コピーする際の手数料も高くなります。
cTraderでコピートレードを行うためには、コピートレードに対応している業者でなくてはいけません。対応していなければ利用できないので注意しましょう。
バックテストに対応している
cTraderは、MT4と同じくバックテストの機能を標準搭載しています。
バックテストとは、過去の値動きを利用して、特定のロジックがどのような結果だったのかを求める方法です。
cTraderにも自動売買機能が搭載されていますが、MT4は「EA(expert advisor)」と呼ばれるプログラムが使われているのに対して、cTraderは「cBot」と呼ばれるプログラムが使われています。
「EA」と「cBot」に互換性はありません。
そのため、EAやcBotのバックテストはそれぞれ対応しているプラットフォームで行う必要があります。
反応が早くスキャルピングとの相性がいい
cTraderはスキャルピングとの相性が抜群に良いです。
NDDの中でも業者の介在が一切ないECNですので、リクオートや約定拒否は発生しません。
一種の市場取引ですので、業者がレート操作することもできないため、不当な価格操作で被害を受けるリスクも小さくなっています。
また決済注文もワンクリック対応で速度も速いため、何度も注文・決済を繰り返すスキャルピングに適しています。
実際、cTraderを使っているのはスキャルピング目的のトレーダーが大半です。
cTraderのデメリット
cTraderを利用するデメリットとしては以下の点が挙げられます。
- 対応している業者が少ない
- 自動売買のプログラムが少ない
- カスタムインジケーターが少ない
対応している業者が少ない
cTraderの一番のデメリットは、対応している海外FX業者が少ないことです。
そもそもFX業者の中でもECN口座を提供しているところは限られていますし、その中でもcTraderを採用している業者はごく一部になります。
cTraderを採用している業者
- Axiory
- TradeView
対応している業者が少ないということは、それだけ利用者も少なく、得られる情報も少なくなります。
自動売買のプログラムが少ない
前述の通り、cTraderを採用している業者少ないため、利用者も少ないです。
そのため、自動売買用ののプログラムも少ないです。
もしcTraderを利用してECNで自動売買をしたいのであれば、専門の人にcbotを作ってもらう必要があります。
しかし、そもそもcbotになれている人自体が少ないため、作ってもらう場合も高額になるでしょう。
MT4/MT5とはプログラムのタイプが異なるため、cTrader専用の自動売買プログラムを使用する必要があります。
cTraderはMT4/MT5に比べると利用者が少なく、自動売買プログラムを開発・提供している会社やトレーダーも多くありません。
カスタムインジケーターが少ない
cTraderでもカスタムインジケーターが利用できますが、その数は限られています。
公式サイトにある程度アップされてはいますが決して多くはありません。
しかし、cTraderには標準で60以上のインジケーターが搭載されています。
基本的なインジケーターは全て網羅していますので、マニアックなものを求めなければ十分だと言えます。
海外FX初心者には使いにくい
cTraderは初心者向けではありません。
機能は豊富ではありますが、それゆえに覚えないといけないこと、知っておくべきことがあります。
しかし、MT4と比べると情報量が圧倒的に少ないです。
何か困った時に検索して調べても、大してヒットしないのです。
これはプラットフォームの仕組みをよく理解していない分からない初心者にとっては大きなデメリットです。
cTraderを使うのであれば「ECNで板情報を見ながら取引したい!」という強い思いが必要です。(板情報はMT5でも見れますが・・・)
cTraderそのものは非常に優れたプラットフォームです。
しかし、海外FXで一般的に普及しているMT4/MT5の方が使いやすいという声も多く、cTraderがなかなか普及しない原因になっています。
cTraderが使える海外FX業者
ここでは、cTraderが使えるFX業者の中でもオススメを紹介します。
AXIORY
AXIORYは2015年に設立した海外FX業者です。
cTraderが使える業者の中では有名で、スプレッドも狭いことからスキャルピング目的のトレーダーが多く利用しています。
最大レバレッジは400倍と少なめですが、400もあれば十分かと思います。
常時提供しているボーナスもなく、cTraderを含む取引環境に力を入れている業者です。
Tradeview
Tradeviewは2004年に設立した海外FX業者です。
スプレッドの狭さと業者自体の信頼性に定評があり、cTraderを使ったスキャルピングが人気です。
海外FX上級者から特に人気が高いです。
cTraderとMT4とMT5の比較
cTraderとMT4とMT5を比較したのが下の表です。
MT4 | MT5 | cTrader | |
リリース | 2005年 | 2010年 | 2011年 |
動作 | 軽い | 普通 | 普通 |
EAの数 | 非常に多い | 多い | 少ない |
カスタムインジの数 | 非常に多い | 多い | 少ない |
プログラム言語 | MQL4 | MQL5 | cAlgo |
採用業者 | 非常に多い | 非常に多い | 少ない |
デフォルトインジの数 | 30 | 38 | 66 |
対応OS | Windows,Mac | Windows,Mac | Windows |
ダウンロード版 | あり | あり | あり |
Webトレーダー | あり | あり | あり |
スマホアプリ | あり | あり | あり |
3つのプラットフォームの中でもっとも使われているのはMT4です。
ハッキリ言って、MT4が圧倒的です。
MT4はリリースしてから20年以上が経過していますが、未だにトップを走り続けています。
その理由は、EAやカスタムインジケーターの数が多いことでしょう。
そのほかにも、実はユーザーはMT4以上の機能を求めていないのかもしれません・・・。
現在はMT4やMT5を開発しているメタクォーツ社が、MT4からMT5への移行を促していることもあってMT5の利用者が増えています。
それに伴い、MT5対応のEAやカスタムインジケーターも増えています。
cTraderはMT5と同時期にリリースされたものの、MT5に比べて自動売買のプログラムやカスタムインジケーターは少ないです。
まとめ
今回はcTraderについて解説しました。
ハッキリ言って「知る人ぞ知る」プラットフォームですが、実際に使ってみると、意外にスルっと使えたりします。
しかし、細かいことを操作する場合には情報も少なく、苦戦することも多々あります。
癖はありますが、有能なツールであることには間違いありませんので、興味のある方は試してみると良いかなと思います。