本記事では逆張り手法として有名な「タートルスープ」について解説します。

タートルスープは、ブレイクアウトからのダマシを狙う戦略です。
「タートル」という名前からも分かるように、この手法は「伝説の投資集団タートルズ」と関係があります。

今回は「タートルズ?なにそれ?」という方でも分かるように、タートルズの基本から、「タートルスープ」戦略について見ていきましょう。

伝説のトレーダー集団「タートルズ」

1980年代にアメリカの投資家であるリチャード・デニスが同僚のウィリアム・エックハートが、「優秀なトレーダーを育成できるか」という賭けをしました。

  • リチャード・デニスは「優秀なトレーダーは育成できる(トレードに才能は必要ない)
  • ウィリアム・エックハートは「トレードには才能が必要だから、育成できない」

と言うスタンス。

「じゃぁ実際の所どうなの?」
「候補者を集めてトレードを教えて実験してみよう!」

こんないきさつから、二人はトレーダー候補者を募集しました。
複数回の面接を経た後に選ばれたメンバーは「タートルズ」という名前の投資集団として華々しくデビューしたのです。

タートルズの詳細については以下の記事が分かりやすいです。

タートルズの詳細については以下の記事が分かりやすいです。
タートルズの実験から学べることを考えてみよう!【手法・資金管理】

結果的に言えば、タートルズは4年間で1億ドル以上の利益を叩き出しました!

これはとんでもなく凄い数字です。
当時から「タートルズの手法」について議論されていたのですが、後になって判明したタートルズの代表的な手法は「20日間ブレイクアウト(タートルブレイクアウトシステム)」でした。

タートルブレイクアウトシステムとは

タートルブレイクアウトシステムはとてもシンプルな手法で

  • 過去20日間の高値をブレイクしたら「買い」
  • 過去20日間の安値をブレイクしたら「売り」

というルールです。
下のチャートがエントリーポイントです。

表示しているバンドは過去20期間の高値と安値のラインを示します。
価格が前日のバンドをブレイクした所でエントリーとなります。

左から2回目までのエントリーシグナルはダマシになっていますが、3番目のシグナルは大きく取れていますよね。

このように、タートルブレイクアウトシステムは、ひとたび大きなトレンドが来ると莫大な利益が出ます。

その一方で勝率は低く、ダマシが頻発することでドローダウンが大きくなるデメリットがあるのも事実です。

相場の7割程度はレンジと言われていますから、タートルブレイクアウトシステムは、損切りに合うことを前提で仕掛けなければいけない、なかなか辛い手法でもあるわけですね。

タートルブレイクアウトシステム及びこれの元となったドンチャンブレイクアウトシステムについては、以下のサイトで検証してあります。

ドンチャンやタートルズのブレイクアウトシステムは現在の相場でも通用する?

タートルブレイクアウトのダマシを狙う「タートルスープ」

タートルズの「20日間ブレイクアウト」は一度大きなトレンドに乗れたら莫大な利益が得られるものの、頻繁にダマシにあってしまいます。

この事実に好機を見つけたのが、本記事のメインである「タートルスープ」です。

「順張りではダマシが多いなら、逆張りでエントリーしよう」というのが「タートルスープ」の基本的な考え方です。

簡単に言えば「タートルスープ」戦略は、タートルズのメソッドの一部を逆手に取ったものです。

タートルスープは、高勝率・高リワードを目指します。
そのため、エントリーしたら損切り幅を狭く設定して、短期間で決済します。

場合によっては、エントリーポイントのいくつは、大きなトレンドの転換点となることもあります。

狙ってできることではありませんが、後述の損切りポイントを切り上げる(売りエントリーの場合は切り下げる)ことで、利益を最大化することが可能です。「トレーリングストップ」を活用することになります。

タートルスープのルールについて

タートルスープのルールは以下の通りです。

買いルール

  1. 過去20本の安値を更新する
  2. 過去20本の安値は、現在を含めて4本以上前でなければならない
  3. 過去20本の安値の数pips上に買いエントリーを仕掛ける
  4. エントリー後、エントリーした足の安値の少し下に損切り注文を置く
  5. 含み益が出た場合、逆指値注文を切り上げる

売りルール

  1. 過去20本の高値を更新する
  2. 過去20本の高値は、現在含めて4本以上前でなければならない
  3. 過去20本の高値の数pips上に売りエントリーを仕掛ける
  4. エントリー後、エントリーした足の高値の少し上に損切り注文を置く
  5. 含み益が出た場合、逆指値注文を切り下げる

それではロングエントリーまでの流れについて解説します。

1. 過去20本の安値を更新する

「過去20本の安値を更新する」は、現在の足を含めて20本になります。

2. 過去20本の安値は、現在を含めて4本以上前でなければならない

過去20本の安値が近すぎた場合、勢いが強いのでエントリーしない方が良いと言うことになります。

今回のケースでは6本前なのでエントリー可能です。

3. 過去20本の安値の数pips上に買いエントリーを仕掛ける

過去20本の安値の少し上まで戻したところでロングします。

4. エントリー後、エントリーした足の安値の少し下に損切り注文を置く

エントリーしたら、その足の安値に損切り注文を入れます。

5. 含み益が出た場合、逆指値注文を切り上げる

逆指値注文の切り上げ方は裁量になります。前日の安値や一定pipsなどを目処にしてみましょう。

タートルスープの心理的な影響

タートルスープは、トレーダーの心理に基づいた戦略でもあります。

市場参加者の多くはブレイクアウトを狙いますが、その期待が裏切られたときに生じる反動を利用します。

この心理的な要素を理解することで、タートルスープ戦略の本質をより深く理解できます。

ブレイクアウト期待とその裏切り

多くのトレーダーは、過去の高値や安値をブレイクしたときに新しいトレンドが発生することを期待しています。

これは、ブレイクアウトが続くことによって利益を得ようとする「順張り」戦略の一環です。

しかし、実際にはブレイクアウトが「ダマシ」となることも多く、価格は一時的にその水準を超えるものの、再び元のレンジに戻ることがあります。このような場面で、タートルスープ戦略は効果を発揮します。

群集心理と反対方向の動き

市場では、群集心理が重要な役割を果たします。

多くのトレーダーが同じ方向に動くと、価格は一時的にその方向に動きやすくなります。しかし、その動きが過剰になると、反対方向への動きが生じやすくなります。

これは「過熱感」と呼ばれ、多くの買いや売りが一方向に集中すると、その反動として逆方向への動きが強まる現象です。タートルスープ戦略は、この反動を狙ったものです。

自信過剰と損失回避

トレーダーは時折、自信過剰になりがちです。

ブレイクアウトが発生すると、多くのトレーダーは新しいトレンドの発生を確信し、大量のポジションを取ることがあります。

しかし、その自信が裏切られたとき、トレーダーは損失を回避しようと急いでポジションを解消します。

このとき、タートルスープ戦略は損失を最小限に抑えつつ、逆方向への動きから利益を得るチャンスを提供します。

恐怖と欲望のバランス

市場では「恐怖」と「欲望」という感情が常に交錯しています。

ブレイクアウトの後に価格が反転する場合、トレーダーは恐怖を感じてポジションを閉じることがあります。一方で、反転の動きを見て新たにエントリーするトレーダーもいます。タートルスープ戦略は、この恐怖と欲望のバランスを利用し、短期間で利益を狙う手法です。

タートルスーププラスワンについて

タートルスープ・プラス・ワン戦略は、タートルスープを改良したものです。

プラスワンの名前の通り、タートルスープの1本後に売買すること以外、ほとんど変わりはありません。

タートルスープは、過去20本の安値を更新したあと、その日のローソク足でトレードするルールです。
しかし、タートルスープ・プラス・ワンでは、過去20本の安値を更新したのが確認されたあと、その次のローソク足でトレードすることになります。

つまりは、安値を更新した足が確定した次の足で仕掛けます。

そのため、ダマシが少なくなり、エントリーの精度が上がると個人的には思っています。
特にFXではタートルスーププラスワンの方が合っています。

興味のある方はこちらの方を試すことをお勧めします。

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