あなたは、ローソク足が持つ「四本値」について改めて考察をしたことがあるでしょうか?
四本値とは「始値と終値からなる足の実体」と「高値と安値からなるヒゲ」で構成されたローソク足一本で読み取れる情報のことを言います。
今回はこの4本値の中でも「始値」について詳しく考察していきたいと思います。
始値(オープン価格)は、古くから相場の分析において重要な要素とされてきました。
江戸時代の米相場で使われた「酒田五法」にも見られるように、始値は市場のトレンドを把握するための基本的なツールの一つです。
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始値について考察する理由
当たり前の事を当たり前で終わらせず、しっかりとその存在意義を考えてみることで、一見すれば当たり前である事の中にも大きなヒントがある事が多々あります。
例えばあなたに質問します。
例として下のチャートを見て確認してみてください。
どうでしょうか?
ヒゲだけで実体の無い足よりも、圧倒的に目立った実体のある足の方が多いことが分かるのではないでしょうか?
これは言い換えると、「ローソク足は始値をまたいだ方向へ動きやすい」という事が言えるはずです。
- 価格の変動は始値を起点にしている。
- 始値を跨いで価格は上下しやすい。
FXの始値に対する考察はここからスタートしています。
始値に対する値の動きを考えてみる
私は始値というものを「宇宙空間の一地点」と考えています。
少しSFチックですがイメージしてみてください。
そこで足を踏ん張ってジャンプしようとしたとします。
するとどうなるでしょうか?
あなたの周りは無重力なので、思い切り蹴上げようとしてもそれが出来ず、スカスカの中で無意味に藻掻くことになります。
同じように考えてください。
ローソク足の始値をベースにして、その上下には無重力の空間が広がっています。
例えば売るべき状況を想定していた時、始値から遠い上空からは非常に売りにくいです。一方で買うべき状況を想定していた時、始値から遠い地下からは非常に買いにくいわけです。
実際のローソク足で大きなローソク足の中の小さな時間足の動きを観察していきましょう。
下のチャートでは15分足チャートに4時間足のローソク足を重ねて表示しています。
始値ごしの動きに注目してください。
いかがでしょうか?始値に対して値が抜けた方向へ行きやすい傾向があるのが分かるのではないでしょうか?
そうです。
始値はこれから上げるか下げるかの起点として非常に重要な立場となります。
例えば以下のタイミングから始値を跨いで来たらどうでしょうか?
- 指標発表のタイミングで上位足の始値をまたぐ
- エントリーすべきプライスアクションが上位足の始値をまたぐ
これだけで優位性を増しそうですよね。
例えば、下のチャートでは4時間足の始値を15分足が包み足で割ってきています。
その後は綺麗に下げて陰線が確定していますね。
これまでの話をまとめるとこんな感じになります。
- ローソク足は十字線よりも実体のある足の方が圧倒的に多い
- 始値を跨いだところで値動きはその方向に加速しやすい
始値とはひとつ前の足の終値でもあります。
確定したひとつ前の足は次の足の始値として、存在感と影響力を持ち続けるのです。
どの始値が効果があるか
本記事では始値の重要性について解説してきました。
FXにおける始値とはひとつ前の足の終値です。
では、どの時間足の始値が効果があるのでしょうか?
それは言うまでもなく、大きな時間足ほど効果があります。
特に週足や日足の始値はとても意識されやすい価格です。
デイトレなら日足の始値を見て、始値付近で優位性のあるエントリーシグナルが出れば、そのシグナルの優位性はさらに増します。
スイングであれば、週足の始値も一緒に意識してやれば、高勝率のエントリーが可能になります。
セッションごとの始値は効く!
デイトレについてもう一点考えるとすれば、セッションごとの始値を意識すると、より勝ちやすくなります。
特にロンドン時間の始値は3大市場の中でも特に効果があります。
なぜなら、ロンドン時間に流入するお金が3大市場で最も大きいからです。
市場の値動きとはお金の動きです。
ですから、単純にお金が多く入ってくるセッションの始値を意識するだけで、優位性が上がるのです。
ロンドン時間の始値の優位性を検証
では実際にロンドン時間の始値がどれくらい意識されているか見ていきましょう。
縦線がロンドン時間の始まり(日本時間で16時)を示し、水平線がロンドン時間の始値となっています。
途中でロンドン時間の始値を上にブレイクしましたが、ダマシとなって再度下げています。
ロンドン時間開始後に下落。
それから下げ止まって反発してロンドン時間の始値まで一直線で上昇。
少しもたついて明確にブレイクしていきました。
ロンドン時間開始から少し上下しますが、明確に始値をブレイクできずに、その後は下落しています。
こちらもロンドン時間開始から少しは上下が目立ちましたが、途中から明確に下へブレイクしていきました。
始値と他のテクニカル指標の組み合わせ
始値を他のテクニカル指標と組み合わせることで、トレードの精度を高めることができます。
移動平均線: 始値が移動平均線を上回るときは買いシグナル、下回るときは売りシグナルとして利用できます。
ボリンジャーバンド: 始値がボリンジャーバンドの上限または下限に近づいたときの反転を狙う戦略も有効です。
RSI(相対力指数): RSIと組み合わせて、始値が特定のRSI値に達したときのエントリータイミングを図ることができます。
まとめ
今回の記事では、始値の重要性について熱く語りました。
多くの人はあまり始値の重要性を感じませんが、始値を考慮することで見えてくる優位性もあるのです。
特にロンドン時間をメインとするデイトレーダーは、ロンドン時間の始値(夏時間で16時、冬時間で17時)を意識することで、その時の動きの方向がより分かりやすくなるはずです。
非常に強いサポレジとして機能しますし、大きくブレイクすればその方向に流れていくことが多いです。
この傾向を利用すれば、損小利大のトレードが可能になるので、ぜひ参考にしてみてください!
また、他の手法と組み合わせやすい考え方ですから、あなたの手法にも取り入れてみてください。