今回は自動でサポレジラインを描画するインジケーターの草分けである「ピボット(pivot)」について詳しく解説します。
ピボットは、世界中のトレーダーに利用されている優れたインジケーターであり、上手く利用することで取引の優位性を高め、統計的なアプローチを活用したトレードが可能になります。
本記事では、ピボットの種類から具体的な使い方までを詳細に紹介し、トレードの戦略にどのように組み込むかを解説します。この記事を通じて、ピボットの効果的な利用方法を学び、トレードの成功率を向上させるための知識を身に付けましょう。
Contents
Pivotとは
ピボットの考案者はあの有名なJ.W.ワイルダー氏です。
パラボリックやRSIの考案者と言えば、どれだけ凄い人かわかるのではないでしょうか。
直訳するとこのような意味になります。
相場のイメージで言えば、ピボットを中心にして価格が上下していくような印象です。
英語では「リアクショントレンドシステム」とも呼ばれており、裁量判断無しにサポートやレジスタンスを示す指標の一種と言うか先駆けでもあります。
ピボットの基本的な概念としては、「過去の特定期間の価格データは、将来の価格変動の目安となる」という前提に基づきます。
もっと具体的に言えば、前日の日足の4本値(始値高値安値終値)が、当日の価格変動の基準となると考えます。
前日の足から割り出した中央値/中心値 = Pivot Point(以下PP)を中心にして、当日の価格が上下に振幅する事を想定するわけですね。
さらにPPを基準としてその上下に、レジスタンスライン(通常R1、R2等と表記)やサポートライン(通常S1、S2等と表記)を表示して当日の値動きの目安を示します。
こうすることで、価格の進みすぎや反転しそうなレートが視覚的に分かるため、初心者から上級者まで幅広いトレーダー層から受けいられれ、使われてきた歴史があるのです。
ピボットは統計的アプローチである
ピボットは確率・統計的に基づいた指標です。
例えばクラシックなPivotにおけるPivot Pointへの到達率はおおよそ70~80%前後であるという統計があります。
この事実を利用してトレードで活かしていくことになります。
しかし注意点があります。
それはあくまでも「到達率」であって「反転率」では無い事です。
pivot piontに到達したら反転する、と言うわけではなく、とりあえず7割が到達する・・・ということです。
反転せずに通過した場合にもそれは到達率に含められる点は重要です。
確率・統計的アプローチとは何か
例えば日足ピボットポイント及び上下に表示されるサポレジラインの到達率についてデータを集めたとします。
仮にある条件下において、サポートに到達後に買いを検討するケースの場合、各ラインへの到達率(反転率では無い)が以下の通りだったとします。
- PP → 75%
- S1 → 60%
- S2 → 40%
- S3 → 20%
ここでS2に到達した所でロング、ストップをS3に置くとします。
この場合S3のSTOPが狩られる可能性は、平均して20%であるという事になります。
言い換えると80%の確率でS3よりも上で値が引けるという事になります。
特定条件をふまえた上で、集められた統計データーから見る確率的優位性を背にトレードを組む事を「確率/統計的アプローチ」と言います。
Pivotの各ラインの性質と基本的な利用方法
他の相場環境や背景などをまったく考慮しない場合、Pivotの考え方はとてもシンプルです。
中心軸となるPivotと、その上下に支持抵抗線が展開されているでけですので、そのラインの性質に沿った売買判断があると言えます。
例えば
- サポートにに対し上から値が下りてくれば買いを支えるラインになる
- レジスタンスに対して下から値が伸びてくれば売りのラインになる
- ラインをブレイクしたら、次のサポレジまでの区間を埋める動きになる
と考えることができるわけですね。
より簡単に言ってしまえば中心軸から上下に「何か起こる可能性がある場を展開している」とも言えるでしょう。
これに加えて、各トレーダーが他の指標等を組み合わせて前提条件や様々なアプローチを加えていく事によって、順張り指標にも逆張り指標にもなり得ていく事になります。
このラインの意味する所は例えば仮に、PPから上部に展開されたR1~R3で売りを考えていた場合、R3を超えてしまえば売り方を止めトレンドの発生ポイントと考える事を指します。
Pivotの長所と短所
どのようなツールでも長所と短所が必ず存在します。
その二つを理解する事で利便性の向上を考える際の向き合う問題が見えたり、その利用時における注意点が見えたりするかと思います。
ではピボットの長所と短所はどのようになっているのでしょうか?
- 計算式に当てはめるだけなので誰もが同じラインを描ける
- 描きだせるタイミングと終了のタイミングが定義されている
- ラインとラインの区間における幅が他のラインに比べて広い
- 直近の値幅に依存したラインである
- ターゲットが流動的
- ラインとしての精度が低い
メリットとしては、誰でも同じラインが引けるという点が一番ですね。
これがピボットが世界中で支持されている理由です。
その一方で、前日の4本足だけで求められるシンプルな計算ですので、精度はそれほど高いとは言えません。
上級者が引いたサポレジラインには劣るけど、大まかにこれくらいで反発することが多いんじゃないのかな?というレベルのラインになるかと思います。
Pivotの種類について
Pivotと一言でいっても、実は意外にも種類が多く、良く知られているものとして以下の4つがあります。
- Classic Pivot
- Woodie Pivot
- Camarilla Pivot
- Fibonacci Pivot
一番メジャーなのがClassic Pivotです。
これについては多くのチャートソフトで表示が可能ですが、下3つは少しマニアックです。
しかし、下のMT4インジケーターを使うと、どれでも表示が可能です。
必要な機能は全て揃った!「PivotPoints.All-In-One」
どれも特徴がありますので、解説していきます。
各Pivotの計算式の解説
ピボットは4種類あると書きましたが、それぞれの計算式も結構違います。
それぞれについてご紹介していきます。
高値-安値=RANGE(R)と表記。
Classic Pivot (クラシックピボット)
- R4 = PP + 3RANGE
- R3 = PP + 2RANGE
- M5 = ( R2 + R3 ) /2
- R2 = PP + RANGE
- M4 = ( R1 + R 2 ) /2
- R1 = PP X 2 – L
- M3 = ( PP + R1 ) / 2
- PP = H + L + C / 3
- M2 = ( PP + S1 ) / 2
- S1 = PP X 2 – H
- M1 = ( S1 + S2 ) / 2
- S2 = PP – RANGE
- M0 = ( S2 + S3 ) / 2
- S3 = PP – 2RANGE
- S4 = PP – 3RANGE
M0~M5のMはMidpivotsのMです。
これは中間目安とされてはいますが、実際にはこのラインを始点に高値/安値をつけて反転していく事も良くあります。
Woodie Pivot(ウッディピボット)
- R4 = PP + 3RANGE
- R3 = PP + 2RANGE
- M5 = ( R2 + R3 ) /2
- R2 = PP + RANGE
- M4 = ( R1 + R 2 ) /2
- R1 = PP X 2 – L
- M3 = ( PP + R1 ) / 2
- PP = H + L + ( 2 X C ) / 4
- M2 = ( PP + S1 ) / 2
- S1 = PP X 2 – H
- M1 = ( S1 + S2 ) / 2
- S2 = PP – RANGE
- M0 = ( S2 + S3 ) / 2
- S3 = PP – 2RANGE
- S4 = PP – 3RANGE
Classic Pivotに比べ終値が重要視されているのが特徴です。
Fibonacci Pivot(フィボナッチピボット)
- R4 = PP + RANGE X 1.382
- R3 = PP + RANGE X 1.00
- M5 = ( R2 + R3 ) /2
- R2 = PP + RANGE X 0.618
- M4 = ( R1 + R 2 ) /2
- R1 = PP + RANGE X 0.382
- M3 = ( PP + R1 ) / 2
- PP = H + L + C / 3
- M2 = ( PP + S1 ) / 2
- S1 = PP – RANGE X 0.382
- M1 = ( S1 + S2 ) / 2
- S2 = PP – RANGE X 0.618
- M0 = ( S2 + S3 ) / 2
- S3 = PP – RANGE X 1.00
- S4 = PP – RANGE X 1.382
ピボット自体の計算式はクラシックと同じです。
しかしSやRに高値と安値の差分にフィボナッチ比率を乗じる点がユニークです。
一般的に1、0.382、0.618刻みとされている。PPはClassicと同じ計算式。
Camarilla Pivot (カマリリャピボット)
- R4 = C + RANGE X 1.1 / 2
- R3 = C + RANGE X 1.1 / 4
- R2 = C + RANGE X 1.1 / 6
- R1 = C + RANGE X 1.1 / 12
- PP = H + L + C / 3
- S1 = C – RANGE X 1.1 / 12
- S2 = C – RANGE X 1.1 /6
- S3 = C – RANGE X 1.1 / 4
- S4 = C – RANGE X 1.1 / 2
他のピボットと比べて明らかにラインの間隔が狭いのが特徴です。
Pivotを利用した戦略
では最後にピボットを利用した戦略について解説します。
とても簡単ですが、優位性はありますのでぜひ検証してお試しください。
1.前日のローソク足の陽線/陰線どちらであるかを考慮に入れる
まずはエントリーする方向を事前に決めておきます。
- 前日陽線で引けていれば上昇トレンドと判断し、買いのみで入る
- 前日陰線で引けていれば下落トレンドと判断、売りのみで入る
こうするだけで、事前にエントリーポイントが分かりようになる大きなメリットがあります。
2.PPもしくはS、Lに到達後エントリーしていく
エントリー方向が分かったら、当日の価格がピボットのラインに当たったところで入ります。
- ロングならPP、S1~S2でエントリー
- ショートならPP、R1~R2でエントリー
損切りはエントリーとは逆方向の次のライン、利食いはエントリーの順方向のラインで行います。
こんな感じで前日が陽線か陰線かを考慮してエントリーポイントを絞ることで、精度の高いエントリーができます。
さらに飛躍する
この条件に加えて、前々日が陽線か陰線かも一緒に考えます。
- 前日が陽線で前々日も陽線なら強気の買いとする
- 前日が陰線で前々日も陰線なら強気の売りとする
強気の日は、流れが強くなっていますのでロットを上げたり、利食い幅を伸ばしたりすることでトレード効率を高められます。
また、前々日と前日のローソク足がの色が合致していない場合は様子見することも考えておきましょう。
負けやすい無駄なトレードを避けられたら、その分だけ勝率も上がります。
ピボットは様々な使い方ができます。
ぜひあなたなりの使い方を見つけて、相場からバンバン利益を出してくださいね。
ピボットに関するQ&A
ピボット(pivot)は、過去の特定期間の価格データを基に、将来の価格変動の目安を示すインジケーターです。J.W.ワイルダー氏が考案し、サポートラインやレジスタンスラインを自動で描画します。
ピボットを使うメリットには、誰でも同じラインを描けること、ラインの描き出しと終了のタイミングが定義されていること、価格の進みすぎや反転しそうなレートが視覚的にわかることなどがあります。
ピボットには、Classic Pivot、Woodie Pivot、Fibonacci Pivot、Camarilla Pivotの4種類があります。それぞれ計算式が異なり、用途や特性に応じて使い分けられます。
クラシックなPivotにおけるPivot Pointへの到達率はおおよそ70~80%前後とされています。しかし、これは「到達率」であって「反転率」ではないため、到達しても反転せずに通過することもあります。
基本的な戦略としては、前日のローソク足の陽線/陰線を考慮し、エントリーする方向を決めます。例えば、前日陽線なら上昇トレンドと判断し、買いのみで入ります。また、ピボットのライン(PP、S1、R1など)に到達したところでエントリーし、逆方向の次のラインを損切りポイントとするなどの方法があります。