ナンピン(難平)とは、ポジションが含み損になっているときに追加でポジションを取ることを言います。
ロングの場合出あれば、買い値の平均を下げ、価格が戻ってくれば利益になる半面、値下がりがそのまま続けば損失が大きくなる手法です。
そのため、「下手なナンピン・スカンピン」といった格言もあるほどで、ナンピンで大損を出したトレーダーは枚挙に暇がありません。
では、ナンピンは絶対にダメなのでしょうか?
実はそうではありません。
ナンピンも使い方次第、そして資金管理次第です。
無計画で感覚的なナンピンは論外ですが、上手に利用すれば有効な武器となるのです。
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FXトレーダーにナンピンの否定派が多い理由
FXトレーダーの多くがナンピンを否定します。
その理由にはしっかりとした根拠があります。
それは、「レバレッジを使う証拠金取引だから」というものです。
証拠金取引は、実際の資金以上の取引が可能です。
しかし、その分だけリスクが高く、ちょっとした値動きで資金が吹き飛んでしまいます。
だからこそ下手にナンピンを入れると雪だるま式に含み損が増えて最後はマージンコールというオチになるわけです。
インデックス投資は事実上ナンピンを認めている
その一方でインデックス投資では実質的なナンピンを推奨する人が多いです。
例えばドルコスト平均法や積立投資。
これら毎月決まった金額をインデックスに投資するもので、事実上のナンピンです。
インデックスでナンピンが推奨されるのは、インデックスは右肩上がりで上昇を続けるから・・・という前提に立っています。また、インデックス投資では基本的にレバレッジを使用せず、資産運用として考えられることが多いです。
このような事から、インデックス投資においてはナンピンが推奨されることも多いのでしょう。
計画的なナンピン=分割エントリー
ナンピンは時に“相場観”も狂わせます。
それは「このトレード(ポジション)で負けたくない」という思考が働くからです。
しかし、FXにおけるナンピンは、計画的に考え一定のルールのもとで実行するなら非常に効果的な手法にもなり得ます。
- ルールとポジションの管理徹底は厳格に設定する
- ナンピン回数の上限を決める
- どの価格帯でどれほどのサイズで実行するかを決める
- ポジションを清算するべきポイントを決める
など、細かくルール化していけば、一つの戦略として機能するのです。
つまり、事前にどれだけナンピンを入れるのかを決めた「分割エントリー」として考えるわけですね。
これが感情に任せて行うナンピンとの一番の違いです。
計画的な分割エントリーの例
例えば、ドル円相場が100円~100円50銭のレンジ相場にあるとします。
チャート上でも明確なサポートがあり、100円に近づくほど買いのチャンスになる場面では100円ぴったりで買えれば結果的に最高かもしれませんが、そう首尾よく物事は運びません。
そこで、100円20銭あたりからでも100円を下限にして買い下がっていく方法が考えられます。
その時にどう買い下がっていくべきか。
100円20銭でとりあえず1万通貨買い、10銭下がるごとに100円10銭で1万、100円丁度で1万と同数量で買い下がる手がまず考えられます。
または100円20銭で1万、100円10銭で2万、100円で3万とナンピンしていくポジションのロットを増やしていく手も考えられます。
そしてナンピンしていく間隔も工夫する余地のあるところです。10銭間隔にするか、5銭間隔にするか、あるいは最初のポジションは小刻みに小ロットで取得し、ずっと下のレートで大きなポジションを取る、等々。
実際のところ、ナンピンは繊細で奥深いものです。ひとつのトレードをどれ位の平均レートでポジションを取得し、完結させるか。ちょっとしたポジション取りの違いが勝敗を分けることは多いですね。
トラリピのような自動売買について
FXにおけるナンピン型自動売買で有名なのがトラリピです。
これは市場の値動きが大きく上下しながら進む事を利用した一種のナンピンになります。
トラリピ自体はルールが簡単で誰でもやれるというメリットがありますが、急激な変動があった際に大きな含み損を抱えて破綻する可能性もあります。
それを回避するためには、大きな動きが出た際は裁量で自動売買を一時停止したり、事前に特定の条件下で売買を停止するようなプログラムを組んだEAで運用することをオススメします。
特にFX市場はインデックスと違って長期的に上げ続けることが前提の投資ではありません。
ですから、トラリピであっても、どんな時に取引を停止するのか、どんな時にポジション全決済するのか等のルールまでを考えておくべきだと思います。