サヤ取りという取引方法をご存じでしょうか?
サヤ取りとは複数の相場から生じる歪みを利用して利益を上げる手法で、アービトラージとも呼ばれます。ちなみにサヤ取りは「鞘取り」と書かれますが本当は「差也」です。
サヤ取りは非常に低リスクなため、ヘッジファンドのようなプロからの人気が高いです。
しかし、リスクが低い分だけ利益率も低めなので、それなりの利益を出すためには大金もしくはハイレバレッジで取引する必要があります。
ではハイレバレッジが可能な海外FXでサヤ取りは可能なのでしょうか?
なぜなら、XMを始めとした海外業者ではアービトラージを禁止しており、見つかると口座が凍結される可能性があるからです。
では具体的にアービトラージとはどんな取引になるでしょうか?
本記事では海外FXで禁止されているアービトラージについて解説します。
Contents
2種類のアービトラージ
海外FXで利用されることの多いアービトラージは以下の2種類です。
- 複数の業者のレートの違い突く
- レート配信の遅れを突く
それぞれについて見ていきましょう!
複数の業者のレートの違い突く
業者毎にレートが違う
為替レートは、FX業者によって異なります。
なぜなら為替相場には「証券取引所」のようなものが存在せず、複数の銀行間の需要と供給によってレートが決まってくるからです。このレートをインターバンクレートと呼びます。
FX業者はインターバンクレートやカバー先の銀行のレートを参考にして、さらにスプレッドを上乗せして顧客にレートを提示しているのです。
基本的にFXはFX業者とトレーダーの相対取引なので(くりっく365は除く)、極端に言えば業者は好きなレートを配信しても構いません。なので悪徳業者になると、顧客のストップ注文が集注しているレートに一瞬だけヒットさせて強制的に損切りさせて自分たちの利益にする・・・なんてところもあります。
一昔前の国内業者でもこのような「ストップ狩り」が普通に横行していました。
少し話はズレましたが、FX業者によってレートが微妙に違うのは理解して頂けたと思います。
業者間でレートが差が最も開くのがショックの時
通常の相場では業者間のレートの違いはそこまで開きはありません。
そんな中で、相場が急激に動くショック相場があります。
誰もが予測していなかったファンダメンタルズのサプライズだったり、中央銀行の介入があると、相場があり得ないくらいに動き出します。
- スイスフランショック
- リーマンショック
- 日銀の介入
- フラッシュクラッシュ
このときは市場が混乱しているため、FX業者によって提示するレートが違ったりするのです。
例えばスイスフランショックの時は、スイスフラン円のレートが業者間で200pips以上開くこともありました。
こんな混乱した相場の時こそがチャンス!
複数の業者のレートを見て、同じ通貨ペアで高いレートの業者でショート、低い業者のレートでロングするのです。
例えばドル円のレートを100円で提示しているA業者でショートして、99円で提示しているB業者でロングするわけですね。
こうすると、業者間で両建てしていることになるのでリスクはゼロです。
そしてしばらくすると混乱も収まってくると業者間のレートの違いは解消されてきます。
このときにロングとショートのポジションを決済してやると、その差額の1円(100pips)がノーリスクで得られるのです。
この手法はいつでも出来るわけではありません。
大きく動く必要があるので、年に数回あれば良い方です。
レート配信の遅れを突く
レート配信に微妙な遅れがある
複数のFX業者のレートをじぃっと見てください。
どの業者も全く同じタイミングでレートが切り替わっていないことに気付きます。
レートの切り替わりが早い業者、そしてワンテンポ遅れてレートが切り替わる業者があるのです。
これは恐らくカバー先の金融機関の違いによるものだと推測されます。
配信の遅い業者でハイスピードスキャル
レートの切り替わりが早い業者の値動きを参考にして、レートの遅い業者でエントリーするやり方がレート配信の遅れを突くアービトラージです。
例えば、レートの切り替わりの早い業者のドル円のレートが110.10円で、そこから110.12円に動きました。しかし、切り替わりの遅い業者のレートはまだ110.10円です。
そして、レートの遅い業者でも110.12円に動くことを見越して、110.10円の時点でエントリーするのがこのやり方です。
このトレード方法は、かなり難易度が高いです。
瞬間的な判断と業者の高い約定力が求められます。
そのため、人間の手で継続して取引するのはほぼ不可能です。
実はそのような隙をつくEAもありますが、口座凍結の恐れがあるので推奨できません。
アービトラージは口座凍結の恐れがあるのでやめてこう
以上、FXで可能なアービトラージについての解説でした。
まとめますと、FXのアービトラージは以下の2種類があります。
- 業者間のレートの乖離を狙う
- 業者間のレート配信のタイミングの違いを狙う
冒頭でもお伝えしたように、上記のアービトラージを実際にやると、どの業者でも口座凍結をされるリスクがありますのでオススメできません。
特にMT4を採用する業者間でこのようなアービトラージをやろうとすると、業者にばれる可能性が高くなります。
また、これらの手法は理論上は可能ですが実際にやるとするとかなり大変な取引になるので、普通に優位性のあるトレードルールで取引を使う方が効率が良いでしょう。