今回はプロスペクト理論について詳しく解説します。
プロスペクト理論について「初めて聞いた!」という方、「名前くらいなら・・・」という方はぜひご覧ください。
プロスペクト理論を分かりやすく一言で言うと、【人は損することを避けたがる生き物だ】ということを論理的に証明した理論です。
これは人間に組み込まれたプログラムですが、これを脱却する方法があります。
Contents
FX取引で重要なプロスペクト理論とは何か?
まずは問題です。
問題1「利益」を得る場合
イントスをするとして、
- コインが表なら、100万円もらえる
- コインが裏なら、50万円失う
- ゲームに参加せず20万円もらう
この場合あなたはゲームに参加しますか?
ゲームに参加すると損失する可能性があるのなら、20万円貰ったほうが良いと思うのではないでしょうか。
質問2「損失」を受ける場合
あなたは今借金が50万円あるという状況でルーレットをするとして、
- 赤が出たら、100万円もらえる(出現率30%)
- B.黒が出たら、30万円失う(出現率70%)
- C.ゲームに参加せず、10万円もらう
あなたはゲームに参加しますか?
借金を返さないといけないわけですから、100万円を狙いたくなりませんか?
では、質問を振り返ってそれぞれの期待値を見ていきます。
ゲームに参加する場合:100万円×50%+(-50万円×50%)=25万円
→期待値25万円ゲームに参加しない場合:20万円×100%=20万円
→期待値20万円
期待値を見てみると、質問1の場合は、ゲームに参加するという事が期待値が高い選択だと言えます。
次に質問2の場合は、
ゲームに参加する場合:100×蔓延30%+(-30×70%)=9万円
→期待値9万円ゲームに参加しない場合:10万円×100%=10万円
→期待値10万円
これも期待値を見てみると、ゲームに参加しない事が期待値が高い事が分かります。
この2つの質問から分かるのは、人は、直観で行動をすると不合理的な選択をしやすく利益を得る時は確実な行動、損失を受ける時にはギャンブル的な行動を選択しがちという事です。
なぜ上記のようになってしまうのか?を説明してくれてるのがプロスペクト理論になります。
プロスペクト理論とは
- 人は、利益を得ることよりも、損失を回避することを優先する
- 人は、利益に関してはすぐに確定させたい、損失に関しては先送りにする
という人間の心理的傾向のことです。
人が直観に従うと、損失回避を優先して不合理な行動をとりがちです。
FXの場面においては、含み益を抱えている時にその利益を減らしたくないという気持ちから早めの利確をしてしまいます。つまり、含み益をすでに手に入れた利益だと見なして、それが少しでも減るということを損失と考えるため、損失を避けるように利確をしてしまうのです。
一方で、含み損を抱えている時は、損失を確定したくないという心理が働き、損失を先送りにすることで塩漬け状態に陥ってしまう。このように損失を回避した結果、より大きな損失を被ることがあります。
FXで勝つために必要な考え方は「損小利大」ですよ。
しかし、プロスペクト理論のままに取引をするということは、今見たように「損大利小」の取引になりやすくなってしまいます。
今回のテーマであるプロスペクト理論を理解することの重要性はまさにここにあります。
プロスペクト理論は、人は損失回避のための行動を優先するというものですが、損失回避によって起こるのは、
・利確が早くなる
→「損大利小」の原因
となってしまうのです。
なぜプロスペクト理論を克服しないといけないのか?
FXとの関係性において考えると、プロスペクト理論によって、損失を自ら確定させること(=損切り)を避けてしまうと、結果的により大きな損失を被ることになるからです。
もちろん、損切りをしなかったおかげで、反転をしたことで利益を得られた。ということもありますが多くの人が、この成功体験がきっかけでプロスペクト理論にドップリはまっていきます。
FXにおいてプロスペクト理論は人の選択にどのように影響を与えるか?
FXにおいてプロスペクト理論は人の選択にどのように影響を与えるか?の問いに答えるためには、まずプロスペクト理論とFXがどのように関係しているのか考える必要があります。
FXでの損失とは、投資した元本を失うことですね。
プロスペクト理論の通りにFXの取引をしてもっとも避けなければならないことは、小さな損失を受け入れることを避けた結果、この時よりも大きい損失を受け入れざるを得ない状況に自ら陥ってしまうことです。
FXの値動きにはトレンドというものがあり、例えば上昇トレンドが現れると、ドル円で言えば円安方向に値が動いていきます。
取引で利益を出すには、トレンドに合わせた取引をすることが大事です。
一方で、トレンドと逆の方向に予想して取引をしてしまった場合は損切りをすることが大きな損失を出さないようにするためには大事です。
これを聞いてお金を失うことを避けるのは当たり前だと思うかもしれないですが、本当に大切なのは、どのように損失を受け入れるのかということです。
FXに限らず投資の世界では、よく損切りが大切と言われますね。つまり、損失を自ら受け入れましょう!と教えられるわけです。
しかしプロスペクト理論というのは本を読み理解をしたから、もう克服できたかというとそんなことはありません。
プロスペクト理論は頭で理解したからといって克服できるものではありません。
考え方や人間の本能としてプロスペクト理論があるので日々の取引で少しづつ克服をしていく必要があります。
FXではなぜ自ら損失を受け入れる必要があるのか?
FXではなぜ自ら損失を受け入れる必要がある。という理由は大きな損失を受けることを避けるためであり、大きな損失を避けるために小さな損失を自ら受け入れることが必要になってきます。
大きな損失を受ける事がなぜいけないのかというと、投資において元本を減らす事は、損失分を回収するためにより高い利率が必要になってしまうからです。
そして、損失分を回収するために多くの人が【高利率だけどハイリスク】のような取引になってしまい、自然と取引数量を上げてしまう傾向があります。
つまり、FXにおいて損失回避を優先することで、損失を確定させることを先延ばしにして、より大きな損失を自ら受け入れる形になる危険性が増してしまいます。
プロスペクト理論を克服するための5つの実践的具体例
ここまでで、プロスペクト理論についての説明をしてきましたが、これからの文章はプロスペクト理論を克服するための具体的なステップについて解説していきます。
プロスペクト理論を克服するための5つの実践的具体例
- 自分の過去の取引を振り返る
- 取引基準、損切り方法について学ぶ
- 取引ルールを設定する
- 実践+記録を行う
- 検証と修正を繰り返す
➀自分の過去の取引を振り返る
まずプロスぺクト理論を克服するには、自分の過去の取引や取引の傾向を振り返りましょう。
一番良くないのは、自分はプロスペクト理論に当てはまるような取引をしていないという思い込みなので、FX取引で負けている人はプロスペクト理論に自分は当てはまっているんだ!と脳内に言い聞かせても大丈夫です。
では、具体的に過去の取引を振り返るには、普段取引しているFXのアプリやサイトから自分の取引履歴を見ることです。
この時に注意してみてもらいたいのが、1回の取引毎の損失額と利益額です。
もし1回の利益額よりも損失額の方が大きいという取引が多い場合は「損大利小」の取引をする傾向があるということになります。
繰り返しになりますが、このようにまず過去の取引を客観的に振り返ってみましょう。
➁取引基準、損切り方法について学ぶ
次のステップでは、取引ルールを設定するために取引基準と損切りについて学ぶということです。
ちなみに取引の基準とは、何を根拠にエントリーとイグジットを行うのか、資金量に対してどのくらいのlot数を購入するのかなどの取引においてのルールのようなものです。
なぜ取引の基準を持つことと損切りが必要なのか考えてみましょう。
先程も説明しましたが、人間の直観のみに従って取引をしてしまうと、損失回避を優先してしまい、不合理な取引をおこなってしまう可能性が高くなります。
これを防ぐためにも、取引の基準、損切り方法をしっかり学ぶ必要があります。
➂取引ルールを設定する
取引の基準と損切りについて学んだら、次は実際に自分の取引ルールを設定してみましょう。
最低限設定すべきルールは下記の3つです
- 資金の何%を取引するか
- 利確ライン
- 損切りライン
なぜこれらを決めるのかというと、感情で売買することを防ぎ損失の許容額を設定できるからです。
利確ラインと損切りラインを決める時に大事なのは、適切なリスクリワードを設定するのですがリスクリワードとは、「1回の取引の利確と損切りのバランス」のことを指します。
「損小利大」に基づくなら、損失額よりも利益額の方が大きくなるように設定する必要があります。
利確と損切りの目安として考えるとすると、利確が資金の5%~10%損切りが資金の2%~3%くらいがちょうどいいかな?と私は考えています。
でも、これはその人の資金量や目標の利益などによって変わってくるので、あくまでも目安として考えてもらえれば大丈夫です。
➃実践+記録を行う
次は、設定したルールを基に実際の取引を行っていき、毎回の取引ノートを付けましょう。
取引ノートを付けることで、自分の取引を振り返り、客観的に確認することができるので必ず行います。
➄検証と修正を繰り返す
正直このステップが一番大事です。
いくら立派な取引ルールを設定しても、実践できなければ意味がありません。また、自分の感情を抑えて、取引ルールを徹底することは簡単ではありません。
取引ルールを設定して、それを実践して、FXで利益を出していくには、検証→修正という反復がとても大事です。FXで利益を出すには、長期的視点に立って、半年とか1年とかの期間のトータルで勝ち越さそれを繰り返さないといけません。
最初の検証→修正の段階では利益を出せていなくても、長期的に利益を出すために必要なことだとしっかり理解して取引をしていってもらえればと思います。
まとめ
FXで勝つには、感情をコントロールすることが大事だと一度は聞いたことがあると思います。聞いたことはあっても、実際にそれができないのは感情をコントロールすることが難しいからです。
頭ではわかってても、FXのように大きなお金が絡むと、反射的に感情に従った選択をしてしまうのはしょうがない事でもあります。
いきなり感情をコントロールすることは難しいですが、徐々にやっていくことは十分可能だと思います。
そのためには、過去の取引を振り返って、その時の感情の動きも一緒に思い出してみることが大事です。
取引している時は、取引に夢中でなかなか客観的に考えるのは難しいと思いますが、振り返りの時間を作ることで、自分の取引を客観的に見る機会を作ることができます。
自分の取引と感情と向き合い続けた人だけがFXで勝ち続けることができると思っています。ぜひあなたも第一歩として、自分の取引と感情に向きいましょう。
なお自分と向き合い方は実際にチャート分析をして実際に取引をしないと勉強になりません。「FXの勉強は意味ない。は嘘!チャート先生から勉強させてもらう方法」にて自分が実際の取引で勉強したことを詳細に書いていますので是非読んでみてください。
FXのプロスペクト理論を強制的に克服する裏技
私は今までFXのプロスペクト理論を克服するために、このページで紹介をした5つのステップを実際に行っていましたが、強制的に克服する方法を編み出したので、このページで紹介をします。
多くの人が理解している事だとは思いますが「取引数量が増し損失額も大きくて損切できない。」「稼ごうとする思いが強すぎて損失を確定できない」というのがプロスペクト理論が働いてしまう原因です。
ということは、これってデモ口座の取引であったり取引数量が0.01LOTの時だったら躊躇なく損切が出来ていた。ということですよね?
だとすれば下記のような手順が出来るのであればFXのプロスペクト理論は強制的に克服出来るようになるという事です。
- 本口座は一切見ないで見るのはデモ口座のみ
- デモ口座で相場分析をし0.01LOTの数量で取引
- デモ口座の取引を数量倍増させてリアルタイムで本口座にコピー
デモ口座は本気になれないから練習にならないとか言われていますが逆を言えばプロスペクト理論が全く働かない状態をデモ口座は強制的に作れるわけです。そして躊躇なく損切が出来る状態になるというわけです。