アセンディングトライアングルはチャートパターンの一つで、「上昇トレンドの継続」を示唆します。

チャート分析における「アセンディングトライアングル」の名前は超有名で、見つけるのは比較的簡単ですし、高い頻度でみられるパターンですが、その分だけダマシもよく発生します。

本記事では、アセンディングトライアングルの基本的な解説から具体的な使い方、ダマシのパターン等について詳しく解説していきます。

ディセンディングトライアングルは逆のパターンになります。
本記事ではアセンディングトライアングルメインですが、それを上下反転して考えるとディセンディングトライアングルになります。併せて考えてみると、チャート分析力がより高まりますよ。

アセンディングトライアングルとは?

アセンディングトライアングル(ascending Triangle)は上昇する三角形という意味で、高値を抑えられながらも、安値を切り上げながら推移する一種の保合いパターンです。

アセンディングトライアングルの流れは以下の通りです。

  • 一定水準をブレイクできない高値が続き、強いレジスタンスラインとなる
  • 高値から跳ね返されるも、徐々に安値は切りあがりサポートラインを形成する
  • レジスタンスラインを力強くブレイクしたら買い

形としては上部が辺となる逆三角形となります。

高値は何度も抑えられ、安値を切り上げるため、ボラティリティは徐々に小さくなります。

ここで動きを取りづらくなったところでトレンド方向に力強いブレイクが発生した結果、多くのストップロス注文を巻き込みながら、大きく上に伸びていきます。

実際の例をご覧ください。

アセンディングトライアングルは比較的見つけやすいパターンですが、どんなものでもアセンディングトライアングルになるわけではありません。

個人的には、レジスタンスラインにもサポートラインにもそれぞれ3回以上はタッチしたほうが信頼性が上がると思っています。

また、徐々に値動きが小さくなることも、その後の大きなブレイクアウトを支持することになります。

アセンディングトライアングル時の市場参加者の心理

アセンディングトライアングル形成中は、見た目は派手でなくても実は売りと買いの攻防が続いています。

  • 売り手:高値で売っておきたい、現在が一番の高値と考えている
  • 買い手:現在は押し目、更に上昇する、上方ブレイクが発生すると考えている

最初の段階では分かりませんが、何度も高値を小突いて、安値を切り上げる動きになると、多くの市場参加者がアセンディングトライアングルを形成していることに気づきます。

ここで上にブレイクすることを期待して事前にエントリーしたり、ブレイクした所でロングエントリーを仕掛けます。

この動きによってショートポジションを保有している人たちは損切り決済(ロング)をせざるを得なくなるため、更に価格は上昇します。

アセンディングトライアングルのダマシ(失敗)のパターン

ここまでアセンディングトライアングルの成功パターンばかりをご紹介してきましたが、ダマシ(失敗)のパターンもよく見られます。

アセンディングトライアングルを形成してレジスタンスをブレイク後、必ずしも大きく上昇するわけではありません。また、アセンディングトライアングル形成中に逆方向に進んでいくこともあります。

ダマシのパターンを知ることで、よりアセンディングトライアングルについての理解が深まると思いますので、こちらもご覧ください。

レジスタンスブレイク後にすぐ戻ってくる

アセンディングトライアングルの理想は、「パターン形成して上方ブレイク後は上げ続ける」というものになりますが、ブレイクをしたものの、全然伸びずに下げてくることもあります。

典型的なダマシです。
思ったよりも伸びずにすぐに戻ってきた場合は、比較的早い段階で損切りましょう。

サポートラインをブレイク

上のレジスタンスラインをブレイクせずに、サポートをブレイクするパターンもあります。

レジスタンスラインをブレイク⇒エントリーのルールだと、このパターンではエントリーせずに済みますが、早い段階でブレイクを見込んでエントリーすると損切りになります。

アセンディングトライアングルを形成したからと言って、必ずしも上方にブレイクするわけでもありませんのでご注意ください。

ダマシの少ないアセンディングトライアングルの見つけ方

アセンディングトライアングルはそれなりにダマシのあるパターンですが、その中でも信頼性が高くなる出現場所があります。

それが、「トレンドが行きすぎていないポイントで出現するアセンディングトライアングル」です。

アセンディングトライアングルを考える上で重要なのが、ブレイク後にしっかりと上げ続けるだけの「伸びしろ」があるか?です。

既に行きすぎた状態でブレイクしても、伸びしろが少なければ結果としてダマシになります。このように「伸びしろ」が超重要になります。

そこで100EMAを基準としてダマシを避ける方法をご紹介します。

100EMA付近で発生するアセンディングトライアングルはダマシが少ない

100EMAは、上昇トレンドか下降トレンドかを決める指標としてよく使われます。
価格が100EMAより上なら上昇トレンド、下なら下降トレンドと考えるのです。

ここで、価格が100EMAよりも上にあって、しかも100EMA付近でアセンディングトライアングルを形成して、ブレイクしたら絶好のエントリーポイントになります。

このチャートは正にその典型で、100EMAを起点にして上昇しており、更にはアセンディングトライアングルの中にアセンディングトライアングルが出来ています。

かなり注目されるパターンですので、その後は見事にブレイクしていきました。このように、他の指標と組み合わせることで、アセンディングトライアングルのブレイクは予測しやすくなります。

100EMAよりもかなり上で発生するアセンディングトライアングルはダマシになりやすい

逆に100EMAよりもかなり上にレートがある状態(かなりトレンドが過熱している状態)で発生するアセンディングトライアングルはダマシになりやすいです。

上のチャートを見ると、100EMAから大きく上に放たれたところでアセンディングトライアングルが発生しています。

このような時はダマシの可能性が高いと考えます。

当然と言えば当然ですが、上げしろが少なければ、ブレイクしてもダマシになりやすいですし、取れる値幅も小さくなります。

狙うのであれば、100EMA付近で発生するアセンディングトライアングルにしましょう。こうするだけで、勝率が上がるだけでなく、リスクリワードの向上も見込めます。

ディセンディングトライアングル

今回は上昇の中で発生する「アセンディングトライアングル」に特化して解説しましたが、上下対象にしたディセンディングトライアングルもあります。

アセンディングトライアングルの図

考え方は全く同じで、こちらもチャートによく見られます。

アセンディングトライアングルとディセンディングトライアングルを一緒に考えることで、より理解が深まると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

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