今回は飲食業を営む兼業トレーダーのHさんにインタビューをさせてもらいました。
Hさんは飲食業の副業としてFXを始めたそうですが、過去に1日で500万円の損失を出した経験があるそうです。当時は飲食業の売り上げも悪く、かなり落ち込んだとのこと。
現在はそういった困難も乗り越えて、調子も戻ってきているようです。
そこで過去の失敗談や現在行っているトラリピ&ループイフダン、そしてFXへの考え方についてご回答いただきました。
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トラリピもループイフダンも誘惑と欲との戦いに過ぎない
Hさんは現在トラリピとループイフダンをメインにトレードして現在は安定して収益を上げられています。
ネットを見ると、トラリピやループイフダンといった「リピート系」は簡単に稼げる方法として取り上げられています。
90%のトレーダーが勝てていないと言われるFX市場の中で、リピート系であれば超初心者でも残りの10%に入る事ができるのでしょうか?
回答
率直に言います。無理です。
含み損や、日々の約定利益を「見ない」「気にしない」ことがリピート系で勝つ必須条件です。
アイネット証券のループイフダンや、マネースクエアジャパンのトラップリピートイフダンは、どちらも名前は洗練されているように見えますが、要は昔から行われている「ただのナンピン買いの連続」です。
予め自分で価格の範囲を決めて、その中でナンピンを入れることを前提に注文していくやり方ですから、別に新しくも何ともありません。まぁ全部自動でやってくれる点が昔には無かっただけですね。
なので、「勝とう」とした時点で負けがかなり近いです。
含み損の額にびびってしまって手動で損切りしたり、日々の約定額に納得できずに欲を出してハイレバレッジで仕掛けを行い強制ロスカットをくらって退場・・・というのが、私の知っているリピート系の退場パターンです。
通常、FXトレードでは利益を伸ばすには通常勉強や研究をし、底値をさぐります。
しかし、リピート系の手法ではそれが無理です。
利益を伸ばすためにはポジションを増やすしかありません。
でも、多くのトレーダーは自分の「器」の大きさを知らず、気づけば器を大きく超えるポジションを取って、平常心を保てず、破産します。
これはリピート系に限らず、どんなトレード手法でも同じです。
FXは強靭な精神力が必要
「強靭な精神力が無ければできない」とのコメントをいただきましたが、その理由についてもう少し深くお話してもらえますか?
回答
トレードはストレスだらけです。
損切りを取り返そうと目先の利益を求めてポジポジ病になったり、マイナスに転じるのが怖くてチキン利食いしたり・・・と常にそういった誘惑やビビリ、つまりは自分自身との戦いです。
特に私は負けず嫌いな性格が災いして熱くなってポジポジ病に陥りやすいと思っています。
FXや株は損切りができるか、が大事と言われます。
しかし、私はその損切り後が一番難しいと思っています。
誰でも調子が良い時があって、勝てる時はあります。
ここでトレーダーの真の実力が発揮されると思っています。
損切り額を気にせずフラットな気持ちで再度スタートに立てるか、そこに強靭な精神力が必要です。
500万円の損失で心臓が痛くなり、夜も眠れず白髪が増える
Hさんは過去に500万円の損失を出した経験があるとのことですが、損失を出した理由や当時の状況や心境などを詳しく教えてください。
回答
私がFXを始めたのは2006年頃です。
当時は円安バブルでクロス円をロングしておけば含み益も増え、しかもスワップポイントももらえるという最高の時代でした。
2008年にリーマンショックもありましたが、私は運よくその直前にポジションをフラットにしていたため無傷でした。
周りのトレーダー達は大損しているのに、自分は大幅なプラスでトレード出来ている・・・。
そんなこともあって、「自分は100年に1度の相場でも無傷でいられる凄腕トレーダー」と勘違いしていました。
そして忘れもしない2011年3月。
デイトレ・スイング用の口座で500万円を入れて運用していました。
東日本大震災で大きく円高に傾いたとき、私はドル円のロングポジションを持っていました。
「いや、まだ助かる」と思って損切りできずにホールドしていると、各国のファンドがさらなる円買いを行い、ストップロスの雪崩が発生。レートが飛びました。
私自身、震災の影響でドタバタしているうちに証拠金の追加を怠り、500万円強の損失が発生しました。
更にはストップロスのレートが大きく動いたために追加証拠金(FX会社による取り立て)も45万円発生しました。
FX業者がレート配信を勝手にやめた挙句、業者の都合のいいレートで強制決済されて怒りが止まらず、何度も何度も電話をして交渉しましたがダメでした。
おかげで精神も肉体もボロボロに。
当時は30歳になったばっかりだったのですが、一気に白髪が増えました。
久しぶりに会った親から「あれ?どうしたの?」と言われるレベルです。
心臓も痛み出し、夜も眠れず本当につらかったです。
FXで退場しやすい人の特徴
回答
私が思うに、
- 楽して簡単に儲けたいと思う人
- 相場について今後の動きを決めつける人
- 今稼がなきゃいけない人
- 思い込みの激しい人
- 頭の悪い人
この5つが当てはまるといずれ100%退場します。
特に思い込みの激しい人は、トレードで勝ち抜くことはまず無理です。
トレーダーは風見鶏のように柔軟に考えを変えていく必要がありますから。
でも、だからと言って自分自身がぐにゃぐにゃと動くのもダメです。自分の芯はありながら、相場に対しては柔軟に対応することが重要だと思います。
FXにはやりがいや楽しみを求めてはいけない
回答
「仕事を辞めたい」というのであれば「転職」をすすめます。
稼げなくてもやりがいのある職業へ転職したらいいと思います。
FXは楽ではありません。
やりたくない仕事から避けるための逃げ場でもありません。
かくいう私も、仕事が嫌で専業トレーダーになった人を数人知っていますが、全員1年以内にアルバイトや派遣などに再就職しています。
「FXで大損した挙句、かつての職場よりもかなり給料が減った」とぼやいていますが、当然の結末ではないでしょうか。
トレードが楽なのは肉体だけ
ネット上では「FXは簡単に稼げる」という広告をよく目にします。
FXを「初心者でも簡単に楽して稼げる」と考えて始めようとしている方に対してアドバイスをお願いします。
回答
トレードで「楽」なのは肉体だけです。
トレード自体はマウスをクリックするだけなので、体力的な消耗はなによりも少ないです。
多分、トレード未経験者はこれをイメージして「楽」と考えるのでしょう。
しかし、トレードでは自分で判断しないといけないこと、考えを変えないといけないことが多く、脳を大量に消費します。
お金の増減のストレス、自分自身へのストレスなど、辛いことも沢山あります。
また、トレードにはリスクがあります。
もし口座資金がパンクして退場すれば、やってきたことがゼロどころかマイナスになってしまいます。
FX市場は世界最大です。
個人で相場の世界に立ち向かうということは、赤ん坊どころか、蟻が立ち向かうようなものです。
その中で生きる術を習得していくしかありません。
「常に最悪の状況を想像する」かつ、「分析を怠らない」「努力をする」「勉強をする」ができればようやくFXのスタートに立てると思います。
それプラス精神力でようやく「勝てる」ようになります。
全部できる人が10%しかいないのでしょうね。。。
これこそが、勝てるトレーダーの資質と言えるのかもしれません。
モーリーの感想
今回のインタビューで気になった言葉があります。それが「器」です。
トレーダーのリスク許容度とかそういった意味で器という言葉が使われていますが、現実問題として自分自身の器のサイズを知らずにトレードしている人が多いのが非常に多いです。
捕らぬ狸の皮算用で、1日○○pips取れたら短期間で1億円達成!なんて夢物語りを見ますが、ロットを上げれば、その分だけリスクも上がるという事を忘れています。
自分の器を超えてリスクを取ると、トレーダーは何もできず、合理的ではない行動をして自滅します。
こう言ったことを避けるためにも、資金を増やす際はじっくりとゆっくりと、自分の器を大きくしながら、そして確認しながらトレードしていくことが重要だと感じました。