「損切りしましょう」
どのトレーダーも口をそろえてこう言います。
特に初心者トレーダーは損切りすることに否定的な感情が強いですし、損切りしなければ大損してしまうので、損切りすることを推奨、いや、義務化するようにアドバイスされることでしょう。
つまり、「損切り=初心者トレーダーの最初の難関」になるのは間違いありません。
しかし、残念なことに「損切り=必ずしも正解」ではないのです。
正しい行為と思われがちな損切りであっても、実は恐ろしい罠があります。
それは、損切りは自分の口座資金に対してプラスの効果をもたらす行動ではないという現実です。
言われてみれば当然ですが、損切りをすれば口座資金は減るのです。
確かに損切りは保険的な役割を持ちますが、損切りしないに越したことはないのです。
今回は損切り貧乏と正しい損切りルールついて考察します。
Contents
損切りをする根本的な理由
トレーダーのほとんどが、小さく利益出して大きく損失を出します。
いわゆるコツコツドカンというタイプで、大抵の人が勝率を重視してコツコツ勝って、最後の最後にドカンと吐き出して相場から出ていくわけですね。
損切りをする目的は、このコツコツドカンのドカンを避けるためにあります。
きっとあなたもドカンと吐き出した後に損切りの重要性を痛いほど感じたのではないでしょうか?
それならば、しっかりと損切りできれば勝てるようになるでしょうか?
「損切りさえできれば自分は勝てるんだ!」そう思って頑張っている人もいますが、それほど相場は甘くありません。私が初心者の頃も、ドカン痛みを知って積極的に損切りをするようになりましたが、資金は全然増えるどころかコツコツと減っていきました。
確かにドカンは無くなりましたが、コツコツとマイナスが積み重なるのです。
そうです。初心者がしっかりと損切りができるようになった後に陥るのが「損切り貧乏」です。
そう思って損切りをし続けたとしても、結果的には損切りを繰り返して一向に勝てない・・・ということになりかねません。
ただ、損切りすればいい訳じゃない
損切りを覚えたトレーダーをどん底に陥れる要因は損切り貧乏です。
損切り=勝ち組への一歩ではありますが、勝ち組になることを約束するものでもありません。
人によっては事前に決めた損切りに到達する前に損切りをすることもありますが、これも損切り貧乏を助長させる要因です。
マーケットはランダム性が非常に強く、エントリーしたと同時にポジションが即マイナスになることもよくあります。そのような状況で単なる恐怖心に基づいて損切りを連続的に行っていても、資金を闇雲に減らすだけなのです。
私自身も損切りさえできればFXの勝ち組になれる!と信じて愚直に損切りをしていましたが、結果は無意味な損切りを繰り返しているだけでした。
この無意味な損切りこそ、損切り貧乏の原因です。
損切り貧乏は間違いなくトレードを上達させる上で障害にしかなりません。しかも、無意味な損切りはじわじわと自分の心を蝕み、トレードを的確に行うのに必要な心のセットアップが困難になってしまいます。
では、どうやって無意味な損切りを避け、損切り貧乏から抜け出せるようになるのでしょうか?
損切り貧乏から抜け出す方法
損切り貧乏から抜け出す方法はとても簡単です。それは、損切りのルールを厳格化するだけです。
例えば、損切りのルールは20pipsと決めたら、それだけを忠実に行う。これだけです。
20pipsに達しないかぎりは損切りを実行しません。なぜなら、自分の勝手な裁量で損切りすることはルール違反。つまり無意味な損切りだからです。
また、現在の損切りルールがタイトすぎる場合は、もう少し損切り幅を広げましょう。
個人的にはATRを使ってその時の相場のボラティリティに合わせて損切りレートを決めるやり方を推奨しています。
これが面倒であれば、現在の損切り幅の1.5~2倍に設定してください。
リスクリワードが・・・・と思うかもしれませんが、それ以上に大事なのは生き残ること、そして勝つことです。
現在損切り貧乏でマイナスなのであれば、損切り幅を広げることで改善につながることになるのです。
では、ルールを厳格に守って損切りをすることで、どのような効果が得られるのでしょうか?
ルールに自分を最適化させることで得られるメリット
売買ルールは自分を律するためのシステムです。
トレーダーが自分を律する必要があるのは、好き勝手にトレードしていたら必ず負けるからです。
マーケットの世界では、人はとても自由に振る舞うことができます。
エントリー、利益確定、損切り、保持、塩漬け、チャートを閉じる、希望的観測、決めつけ、ナンピン、マーチン・・・。マーケットにいる人間は、何かと自由に振舞ます。
人間は元来、自由がとても好きな生き物です。特に現代社会に生きる人間はその傾向が強いです。サラリーマンなら会社に束縛されているし、既婚の人は妻(夫)に縛られていると言えます。学生も、基本的に学校が嫌いと思っている傾向があるし、学校なんて行きたくないと思っています。
しかし、現代社会で生きるためには自分の自由を捨ててでも束縛されることで生活できるシステムになっています。その反面、マーケットの世界では自分を束縛をするものは何もありません。
更に、自分を束縛しなくても運が良ければ稼げる世界でもあります。
この人間に元来備わっている性質こそ、マーケットで負けてしまう大きな心理的問題になってしまうのです。
売買ルールを作り、ルールで自分を縛る。
マーケットで自由に振る舞って勝ち続けられるのは、本当に限られた一部の天才だけです。我々凡人は縛られていないと勝つことは出来ないのです。
ルールに従えば最適な売買タイミングが見える
売買ルールに従い、自分を律するトレードを繰り返すと、無意味な損切りを生み出す原因となっているエントリーの存在より具体的に見えてきます。
よく考えてみてください、なぜ我々は損切りをするのでしょうか?
非常に答えは単純明快。我々がエントリーしたからです。エントリーしたから、損切りが待ち受けているのです。
この論理で行けば、損切りを避ける方法は、エントリーをしないになります。そうです、エントリーさえしなければ負けることは無いのです。
・・・しかし、この理屈で行けばトレードしないことが正解になりますし、それはトレードそのものを否定することになってしまいます。
ですので、自分の過去のトレードを振り返って、損切りになったトレードを徹底的に検証しましょう。そうすれば、損切りになりにくいエントリーポイントが必ず見えてくるはずです。
まとめ
FXで初めての損切りを経験したトレーダーの多くが、投資本などで勉強をしようと決め、実際に勉強をして知識を蓄えていきます。
この行為は、至って自然で合理的に見えます。しかし、無意味な損切りを連発する心理的な障害、損切り貧乏に陥ってしまうことにつながる可能性もはらんでいます。
損切り貧乏に陥ると、トレードで一貫して負けるようになります。
対処法として自分を律するための売買ルール、内容は損切りだけでも構わないので、とにかくルールを作って、そのルールに絶対に従って売買を続けましょう。
すると、損切りの根本的な原因がエントリーにあることに気づくはずです。無駄なエントリーを避けて、リスクを売買ルールの範疇に制限できる局面でのみエントリーするようになれば、自ずと損切り貧乏は解消されるはずです。
損切り貧乏が解消されたら、ポジポジ病も同時に解消できます。
こうなった時、負け組だったトレーダーは必要なエントリーと無駄なエントリーにある程度区別が付くようになり、結果的に勝ち組の思考を多少なりとも受け入れた状態を達成できるのです。
勝ち組の思考を受け入れると、とたんにチャートの見え方が変化する。エントリーしても行ける場所、エントリーすると高確率で損切りを迫られる局面、この見分けがつくようになります。そして、結果的に自分にとっての勝てる売買ルールが自然と手に取るように思いつくようになるのです。
こうなったら完全にこっちの勢いです。