あなたは平均足を使ったことがあるでしょうか?
平均足は便利なインジケーターで、一目でトレンドの転換ポイントが分かる事から、よく初心者さんに使われますよね。トレンドを期待しての順張り手法で使われるのがとても一般的で、特にスキャルやデイトレで愛用されます。
そして平均足は、ローソク足と比べると単純明快で、トレンド方向もはっきりと見えるので、何となく「勝てそう」に見えるのも事実です。
しかし、平均足の重要性決して高くはないです。
せいぜい移動平均線と同等レベルです。
今回は平均足は使う必要ない!という私の主張をまとめます。
論理的に解説しますので、感覚的に「平均足っていいよね」と思っている人はぜひご覧ください。
平均足の弱点(デメリット)
平均足は相場の大まかな流れを分かりやすく示すため、「ローソク足よりも分かりやすい」と思っている方も少なくありません。確かにぱっと見では取っつきやすいイメージかもしれませんね。
しかし、平均足には弱点があります。致命的な弱点です。
それが以下の2点です。
- ロウソク足の平均値に注目しているので雑な分析になっている
- 実際のロウソク足が陽線であってもチャート上では陰線の表示になっている
平均足の最も致命的な所は、大雑把な分析で対処できる相場でしか使えない部分です。細かな分析が必要な相場では、全く持って機能しないのです。
下のチャートのように大きなスイングを描くときはそれなりに勝てます。
しっかりと分かりやすいスイングを描いているのなら、多少雑な分析であっても波を捉えられるわけですね。
その一方で、レンジ相場だとどうでしょうか?
確実にボコボコにやられます。
また、平均足は見易さを追求したのは良いのですが、細かいロウソク足の分析ができません。
ピンバーや包み足など、特定の局面で非常に優位性の上がるプライスアクションが見えないのはかなり致命的と言えます。
そのために、そのままエントリーの判断の為に使うと、逆走するリスクが高いです。
その欠点をカバーする為に損切りを甘くしてしまうと、一回の負け分が大きいものになり、トレード手法としてはリスクの高いものになってしまいます。
この部分を修正するには、特殊なスキャルピングや厳しい損切り設定にするという手段もありますが、手法そのものが平均足を使う便利さを超えて複雑になってしまうという矛盾も出てきます。
つまり、シンプルさが売りの平均足が、なぜか難しくなるわけです。
平均足を使った手法のエントリー判断の問題点
トレンド方向を見て、その方向に平均足の色が変わったらエントリー、というやり方があります。
どういうわけか多くのサイトで推奨されている平均足を使った押し目買い・戻り売り手法ですが、このやり方にも賛同できません。
なぜならある程度反発があったら平均足の色が変わるのは必然ですので、そのためにわざわざ平均足を表示させる必要なんてないのです。
例えば下のチャートをご覧ください。
赤い縦線を引いた箇所が平均足の色が変わった箇所です。
確かにその後は上げていますが、平均足だけがそれに感知できたのでしょうか?
下は同じ所のローソク足です。
ローソク足を見ると、大きな隠線をローソク足2本で包み込んでいます。
押し目買いのポイントを探っているのであれば、むしろローソク足を見た方が根拠もあり、確度のあるエントリーが可能なのです。
もちろんローソク足の方が難易度は上がります。
しかし、その技術を身に付ける方が結果的には効率よく優位性のあるポイントが見つけやすくなるのです。急がば回れですね。
視覚は幻覚
平均足を表示させて見ると確かに面白いようにトレンドの転換ポイントが分かります。
それは、過去の静止したチャートに表示させているからです。
良く見ると全てのトレンド転換ポイントで成功するわけではないのに気づくはずです。失敗する箇所はだいたいレンジ的に動く相場です。
これはライブでチャート見てトレードすると判断が非常に微妙なものです。
視覚的に実際に便利かどうか微妙だという矛盾したことになっています。
確率の高いトレンド転換ポイントは大きく動く箇所であって、小さい波でのトレンド転換ポイントは失敗する事が多いことに気づくと思います。
ところが、いつ大きなトレンドになるかを予測できていないと対処できません。
そういう予測はお構いなしに「とりあえずエントリーして損切りで対処」というのも一つの方法かもしれませんが、リスクはやや高めにならざるを得ませんし、勝率も下がります。
平均足を使った手法の多くが「高勝率」を謳います。
しかし、システマチックなルールにして検証すると実は勝率が低いのです。
正に視覚は幻覚です。
平均足スムーズドはどう?
平均足はダマシが多い、それなら平滑化させたらどうだろうか?
という発想で産まれた「平均足スムーズド」というインジケーターがあります。
下のようなインジケーターです。
これは平均足を平滑化させているため、滑らかに推移する上にトレンドの切り替わりもゆっくりです。
ぱっと見では結構使えるように思えます。
しかし、このインジは平均足以上に遅延が生じます。
また現在のレートと平均足スムーズドの示す値は全く異なります。
つまり、平均足スムーズドは移動平均線で代用できるのです。
別にこれだから特別な優位性がうまれるというわけではありません。
類似のインジに平均足Exitというインジがあります。
これなんて線が太くなければ誰が見ても移動平均線です。
逆に見えにくくなるため、これを使いたいのであれば移動平均線を使うべきです。
まとめ
平均足に関する私の主張をまとめます。
- ロウソク足分析ができるのなら平均足は必要なし
- トレンド転換ポイントを見るのなら移動平均線を使う方が良い
平均足はチャートを見やすくしてくれるような錯覚に陥ります。
しかし、ローソク足を使う方が明らかに優位です。
平均足は単に過去の4本値を平均化したものに過ぎませんから、期間の短い平均足で十分代用可能です。そうすれば、ちょっとした上下の動きに翻弄される可能性も減らせます。
平均足スムーズドに関しては、以下の記事でさらに深堀しています。
こちらのほうもぜひご覧ください。考え方が変わるのは間違いありません。
平均足系は、簡単そうに見えるのは良いのですが、その分だけ雑な分析になっていること、そして移動平均線と大して違わない事実を知っておいてください。
この事実を知ってをもなお、あなたは平均足を使い続けますか?