あなたはこれまでに「移動平均線の角度」について考えたことはあるでしょうか?
テクニカルトレーダーにとって移動平均線の角度は重要ですが、「感覚的」に捉えているトレーダーが多いと思います。
しかし、チャート分析において「感覚」というのは危険なファクターで、特に角度については感覚に頼ると危険です。なぜなら、チャートの縮尺や大きさによって大きく違ってくるからです。
今回はそんな移動平均線の角度について考えて行きたいと思います。
Contents
チャートの角度とは
「移動平均線の角度」はトレーダーの心理に影響します。
よく「移動平均線の角度を見て相場の勢いを見よう」と言われます。
移動平均線が急激な上向き、もしくは急激な下向きになっていると相場の勢いが強いことを意味します。この時はグランビルの法則などが効きやすい状況です。
移動平均線の角度が急で90度に近づくほど相場に勢いがあると解釈できるわけですが、この角度はチャートの縮尺次第で大きく変わります。
試しにチャートのサイズ(縦幅・横幅)を変えてみてください。
例を挙げていきましょう。
このチャートの赤い四角の部分では、かなり勢いよく白い移動平均線が上昇しています。
「勢いがある」と判断出来るのは移動平均線の角度が急だからです。
先ほどのチャートから時間を進めました。かなり上昇していますね。
すると、先ほどの赤い四角の部分の移動平均線の角度が小さくなっているように見えますよね?
このように、その後のレートの動きやチャート画面の大小によって、それまで強気に見えたチャートが弱く見えたり、強気に思えたチャートが弱く見えたりするのです。
これはチャートの“まやかし”の一つです。
自分が見ているチャートの勢いは、主観的に過ぎない事を意味しています。
これがファンダメンタル分析派から「罫線屋」として見下されるひとつの原因だと思います。
チャートのサイズは常に同じが理想的
「チャートの角度」の問題については、新マーケットの魔術師―米トップトレーダーたちが語る成功の秘密 のウィリアム・エックハートの章に詳しく書かれています。
その中でインタビュワーのシュワッガーは、
と述べています。
私は「チャートの角度」に関する対策として、いつも同じチャートソフトをいつも同じサイズで使うことにしています。このことによって、相場に対する見方・感じ方を固定することができると考えるためです。
MT4でチャートのスケールを固定する方法
では最後にMT4でチャートのスケールを固定する方法をご紹介しておきます。
こうすることで、チャートの角度を常に一定に保ち、より客観的なチャート分析が可能になります。
まずはチャート上をクリックして、一番下の「プロパティ」をクリックします。
出てきたウィンドウの「全般」タブをクリックして、左下にある「スケールを1対1に固定」と「スケールの固定」にチェックを入れます。
すると、チャートの縦軸が固定されるため、チャートの角度も固定することができます。
チャートを固定すると面倒な事もあるが、メリットも多い
チャートのレンジを固定してしまうと、相場がの値動きを一度に見ることができないことが多くなります。
それはそれで面倒ですが、常に同じ縮尺でチャートを見ることができるメリットはかなり大きいです。いつも同じ幅の陽線、陰線、同じ角度の移動平均線やトレンドライン。
裁量トレーダーであれば、角度については一度考えておくべき事だと思います。
移動平均線の角度を客観的に知れるインジケーター
目視で移動平均線の角度を確認するのはとても難しいことが分かって頂けたかと思います。
このような視覚に頼るのは心もとないですから、インジケーターに頼りましょう。
下のサイトでは移動平均線の角度を表示するインジケーターを紹介してくれています。
それぞれについてご紹介していきます。
angleofma
angle of MAは、移動平均線の角度をオシレーターで表示します。
勢いよく上昇していたら値も上昇し、下落していたら値はマイナスになっていきます。
デフォルト設定では、現在の10SMAと10本前の10SMAの角度を測定します。
これだと少しわかりにくいので、20SMAを1本前の20SMAとの角度を表示する様に変更してみましょう。
ひとつ前の足のMA同士で角度を求めると、客観的なMAの勢いが分かりやすくなります。
この設定の場合、値が45以上だとかなり上昇の勢いが強いと言えます。(下落の場合は-45以下)
このように、MAの角度をしっかりと数値化すれば、チャートの縮尺にも騙されません。
Trend angle
直近の移動平均線の角度を値で示すインジケーターです。
移動平均線も一緒に表示して、現在の移動平均線をそのまま延長し、その角度を示します。
ひとつ前の足のMAと現在の足のMAまでの角度のみを測定しますが、現在の向きを客観的に判断する指標として利用できます。