トレードで利益を出すという目的を叶えることにおいて、非常に重要なことがあります。
それは、「無意味な相場分析にハマっていないか?」という話です。
「いやいや、何を言ってるの?、相場分析には意味があるよ!」
という主張も聞こえてきますし、実際に意味のある相場分析も沢山あります。
ですが、現実に意味のない相場分析を一生懸命やって「FXで勝てない・・・」と落ち込んだり、悩んだり、退場してしまっている人が沢山いるのが現実です。
そこで今回は相場分析を大きく4つに分類して考えていきたいと思います。
Contents
相場分析4分類
株でも為替でも、相場分析は次の2つの軸で4分割できます。
- 「価格への影響力・説明力」:その要素が価格の変動に影響を与えるか否かを区別する
- 「注目度」:市場参加者がその要素に気づいているか否かを区別する
言葉だけでは意味が分かりづらいと思いますので、これを図にまとめると以下のようになります。
価格影響力の有無をA・Bで分類し、注目度の有無を1・2で分類し、それぞれのカテゴリーを簡単にまとめててみました。
パターンA1(価格影響力あり・注目度あり)
これは株であれば決算や企業ニュース、為替であれば経済指標や金利、要人発言などが価格に影響力します。
またチャートや板は取引銘柄の本質的価値を表したものではありませんが、相場参加者の心理に作用することで取引行動に反映されるため、これも価格影響力があると言えます。
このカテゴリーは市場参加者が注目している(気づいている)ので「他の市場参加者よりも上手く立ち振る舞う」ことが収益機会を生み出すことに繋がります。
「他人の行動を先読み出来れば儲かる」と言い換えても良いでしょう。
群衆行動を上手く読めれば、継続的に一定以上の確率で勝てる可能性があると言えるでしょう。
パターンA2(価格影響力あり・注目度なし)
パターンA2は他の市場参加者が発見していないという点がA1と異なります。
一番わかり易いのはインサイダー情報です。
株の場合は違法ですが、為替の場合はそんなものはありませんが、インサイダー情報を得るためには、各国の中央銀行の動向を早くキャッチしたり、政府要人の発言等を事前に知っておく必要がありますので、非常に限られた人しか知り得ない情報になります。
この他にも、パターンBについては周りが気づいていないアノマリーや市場メカニズム(例えば市場間アービトラージ)、マニアックなテクニカル分析もこれに該当します。
このカテゴリーの収益機会は「他人が発見する前に、知らないうちに利益を上げておく」ということになります。
他の市場参加者が発見すれば収益機会は失われます。
A1・A2に関して、上手くやれば期待収益がプラスになるというのは殆どの人が納得するはず。A1とA2のどちらに分類するのか微妙なものもあるかもしれないが、細かい分類は本記事の狙いではない。
パターンB1 (価格影響力無・注目度有)
これは平たく言うと「多くの人が見ているけど実は意味がないもの」ということになります。
市場参加者が注目するが、実際には価格には影響しないものがこのカテゴリーに入ります。
例えばよく知られた特定のオシレーターを使っても将来の株価を予測する力はない・・・と言うものです。
残念ながら、よく知られたインジケーターのよく知られた手法は、既にエッジが無くなっていることはよくあるものです。
多くの人が見ているというだけで何らかの意味を持ってしまうという現実はありますが、中には相場予測やトレードに役に立たないものも多くあります。
パターンB2 (価格影響力無・注目度無)
これこそやるだけ無駄の分析です。
例えば、隣の家に住むオジサンの朝飯に着目し、ご飯を食べたらドル円が上がる、パンを食べたらドル円下がると予想してその関係を記録したとします。
結果はランダムですが、時には5日連続で的中することもあるでしょう。
しかし、何日連続で当たろうが「隣のオッサンの朝飯」が日経平均を予測する上で役に立つと本気で考える人なんていません。どう考えても明らかに無関係です。
「いやいや、このオッサンは何かの情報を掴んでいて、それを俺にだけこっそりと知らせてくれてるんだ!」と信じる人はトレードをやめましょう。
ところが、ちょっとそれっぽいネタになってくるとこのカテゴリの罠に嵌る可能性が出てきます。
- チャートに線を引くにしても、自分以外に誰も見ていない線だったとしたら、それには一体何の意味があるのか?
- 自分の理想とする理論に相場の波を無理矢理当てはめて、それで予測が当たるのか?
誰も使っていないマニアックなインジケーターで勝てるのか?
「隣のオッサンの朝飯」が的中する確率は50%ですが、適当に引いた線も50%は当たります。
何かの偶然で5連続で当たってしまった場合、適当に引いた線に何か意味があると思いこんでしまう可能性があるのが厄介なのです。
全く優位性の無い50%で当たる線と50%で当たるインジケーターを組み合わせて分析すると、本当に何も意味のない作業を延々と繰り返すことになります。
何かありそうに勘違いさせる時があるものの、どれだけ掘り下げても何も見つからない・・・
B1と大きく異なるのは「市場が注目していない」という点です。
市場心理への働きかけが無いので、群衆行動を説明するモノサシとしての役割も期待出来ません。
セミナー講師などで、エリオット波動やハーモニックパターンを解説する人がいますが、紛れもなくそういった人たちの手法はこのB2に該当します。
注意しましょう。
終わりに
少なくとも相場参加者の多くが注目しているなら、市場がそれに反応して動く可能性はある点は否めません。
しかし、殆ど誰も使っていないものは注意が必要です。
当然「これは意味がない」と断言するのは中々難しいです。
本人がそれを使って勝っているというなら、それ以上何も言うことはありません。
実はA2である可能性も否定できませんから。
しかし、無意味なことに気づいたら早目に方針転換した方が良いのは言うまでもありません。