FXトレードの一番の魅力は、「少ない資金からでも始められて、そして大金が狙える!」と言うことではないでしょうか?
国内FX業者なら最大25倍のレバレッジ、海外FXを使えば100倍以上も可能なので、夢は膨らみます。
というわけで今回は、1日10pipsだけを狙って億万長者になれるか?について議論していきます。
結論から言えば、理論上は可能ですが、非常に難しいチャレンジになります。
トレードの精度、厳しいメンタル&資金管理があるからこそできる超高等技術になります。
ハッキリ言って、誰でもできる芸当ではありません。
個人的にはFXは努力次第でだれでも勝てるようになれると思っていますが、それでも短期で少額を大金に増やすためには才能が必要でしょう。
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複利計算の凄さ
まずは複利の凄さについて説明させてください。
以下のFX複利運用計算シミュレータというサイトがあります。
このサイトでは1日○○pips稼ぐと、●日後にには資金がいくらになるかを簡単に計算してくれるツールです。
ここで計算すると、当初資金を10万円、レバレッジ25倍、1日10pips稼いだとすると、2ヵ月で15万8千円、100日後には36万4千円、200日後には173万6千円、そして300日後には877万円をこえることになります。
これはヤバいくらいの数字です。
では最大レバレッジの条件を倍の50にするとどうなるでしょうか?
この条件だと148日目で1千万円を超えました。そして219日目で1億円を突破しています。
1年以内で10万円が億を超える・・・・。
とても夢のある話です。
複利のパワー
お金を銀行に預けると、利息が付きます。
その利息の付き方には、大きく2種類あります。
それは、「単利」と「複利」です!!
- 単利:元本に対してのみ利息が付く
- 複利:元本と利息に対して利息が付く
複利の場合は元本だけでなく、利息に対しても利息が付きます。そのために、お金が雪だるま式に増えていくのです!!
たとえば、100万円を利回り10%で運用したとすると、2年後には、以下のようになります。
- 単利:100万円 → 110万円 → 120万円
- 複利:100万円 → 110万円 → 121万円
複利の場合、1年後にもうかった利息10万円にも10%の利息が付きます。したがって2年後は、もらえる利息が1万円多くなるのです。
2年でたった1万円増えるだけじゃ、大して変わらない??
でもこれを30年と続けると、下のグラフのようになるのです。
時間が経過するほど、その差は加速度的に広がっていくのです!!
この「複利のパワー」は超絶大で、あの天才科学者アインシュタインが、「人類最大の発明は複利」と言ったほどです。
上記の通り、たった10万円を10pipsだけでまわしていっても・・・わずか1年足らずで、1億円までふくらみます。
1日10pips取れる手法は聖杯か
有名なFX本の中に、「FXの子鬼たち」という書籍があります。
内容は以前紹介したマーケットの魔術師と同じような、凄腕トレーダーのインタビュー集です。
しかしマーケットの魔術師と異なるのは、インタビューの対象者がヘッジファンドのマネージャーや大手銀行のディーラーなどではなく、一般の個人トレーダーである点です。
言ってみれば、我々個人トレーダーと近い人たちがインタビューを受けているわけです。
そしてこの本の中でインタビューを受けている、フーサイン・ハーネガーという人の中で、「1日10pips戦略」というものが出てきます。
これは「1日10pipsだけ稼いだら、その日のトレードは終了」というのを続ける手法です!!
これに複利の考え方を加えると、スゴイことになります。
「1日10pipsなら、チャンスはいくらでもあるし簡単だ!!」
「これを複利で増やせば、1年以内に億万長者になれるぞ!!」
実際に、こういった方法を推奨するFX商材なんかもあったりしますが・・・実は、これには大きな落とし穴があるのです!!
それがメンタルです。
FXで複利運用が難しい理由
FXトレードでの複利運用が難しい理由は、大きく2つあります。
それは、人間の感情である「恐怖」と「欲望」の二つです。
1. 恐怖で取引できなくなる
最初は順調に、資金を増やすことができるでしょう。
しかしお金が増えるごとに恐怖心が大きくなり、今までできていた10pipsトレードができなくなります
よく分からない人は、小学校の頃にやった「平均台」を思い出してください!!
皆さんはおそらく、目をつぶってでもアレを渡ることができると思います。
しかし、これの高さが10メートルだったら?
目をつぶることはもちろんのこと、多くの人は渡ることさえできないでしょう。
ただの「細い道を歩く」という行為でも、恐怖心の大きくなるとできなくなるのです。
複利運用をすると、FXトレードのポジションはどんどん大きくなります。
損切りしたら1,000円のマイナスになるのと、1,000万円のマイナスになるのとでは、FXトレードに対する恐怖心が、全然変わってくるのです!!
欲望が邪魔をする
同じような考え方で、「欲望」も10pipsトレードのジャマをします。
お金が増えていくごとに、ルール通りFXトレードをこなしていくことが難しくなるのです!!
たとえば1回の取引で100万円を稼げるところまで、複利運用が続いたとします。
あるときポジションを取ったら、数秒で一気に10pips伸びました!!
このとき、アナタの心の中では以下のような葛藤(かっとう)が起こるでしょう。
「今日はめちゃくちゃ調子が良いぞ!!」
「このまま20pipsまでいったら、100万円のボーナスだ」
「これだけ勢いがあったら、もっと利益を伸ばせるかも」
そうやって悩んでいるうちに、いつの間にか価格は建値に戻ってしまいました。アナタは自分が逃した利益の大きさを悔やみ、何とか取り返そうとなりふり構わず・・・
このように金額が大きくなればなるほど、目の前のお金に対する欲望が大きくなります。
その結果として大前提の10pipsルールを破り、トレード戦略は破綻してしまうのです。
ポジション量を上げるのは難しい
FXトレーダーには人それぞれ、「これぐらいの金額なら損切りしても痛くない」というラインが存在します。
1,000円でもツラい人がいれば、1,000万円でも平気な人だっているのです。
そしてそれが、自分にとっての限界になります。
この限界=器を超えると、どうしても通常通りトレードできなくなります。
これを引き上げていくには、長い経験と慣れが必要です。
シミュレーションと現実は違う
今回は1日10pipsで億万長者になれるか?という話でした。
複利運用すれば可能ですが、シミュレーション通りには行きません。
そもそもFX市場は常に変動しており、シミュレーション通りに10pipsの利益が毎日確実に得られるわけではありません。
突発的なニュースや経済指標の発表で、相場が急変することもあり、計画通りの取引が難しくなる場合があります。
シミュレーションでは、毎日同じ結果が得られると仮定していることが多いため、実際のマーケットの不安定さや予測不能なリスクが反映されていないのです。
当然負ける日も出てきますので、常に複利で資金が増えるわけがない点も理解しておくべきでしょう。
複利シミュレーションは理論上の資金増加のスピードを示してくれますが、実際のトレードにはさまざまな要因が影響を及ぼします。
手数料やスプレッド、相場の不安定さ、メンタル負担、リスク管理の必要性といった現実の要素を考慮に入れることで、複利運用の難しさを理解し、より現実的なトレード計画を立てることができます。